ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

音楽本

2019.8 新サイトOPEN!
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※他に池袋現代ギター社でもレッスンしています

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「セゴビア編ソル20のエチュード」のバージョン

正しい版を選ぶのって難しいものですね。

クラシックギター界のど定番エチュード「セゴビア編ソル20のエチュード」がありますが、生徒さんから質問が来たので、この版の選び方について書いておきます。

はっきりいうと現在、正しい版は現在は日本では入手困難。英語版であれば入手可能なので、それを買うしかなさそうです。(セゴビア編ソルエチュードは楽譜にある運指や表現記号に意味があるので英語版でも全く問題ありません!)




↑他にも英語版で入手できるバージョンはあります。

さて、セゴビア編のソルの20のエチュードやるぞー!となった時に、間違って買ってしまうのがこれ。




これは「セゴビア選」であって、セゴビアが選んだエチュードはこれだよ!というだけで、運指などは原典のままなのです。セゴビアがつけた運指も表情記号やアーティキュレーションも施されていません(巻末の藤井敬吾先生が書いている「セゴビア編と原典などの比較」は資料として素晴らしいです)。

このバージョンではセゴビアの運指や表現などを学ぶことはできません。

つい10年前までは「セゴビア編20のエチュード」は日本国内の出版社で買うことができました。とはいえ2014年に出されたオクト出版でのものが現時点でラストなのではないでしょうか?この版もすでにどの楽譜屋さんでも売れ切れていると思います。

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僕が大学生の時にはこの版でひたすら練習しましたね。(東亜音楽社、発売元は音楽之友社)

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オクト出版が2014年に出してから、もう10年近くたっています。国内では「セゴビア編20のエチュード」は入手しにくくなっており、結構教育現場では困ったなあーということになっています(勝手にコピーして生徒さんに渡しちゃう先生も出てきちゃっている)。

「先生、ソル20のエチュードのセゴビア編買ってきましたー!」という生徒さんのほとんどが上記の現代ギター社の「セゴビア選」を買ってきてしまうのです。

というわけで英語版で購入するしかなさそうです。

間違って現代ギターの「セゴビア選」を買ってしまっても、先ほど言ったように巻末の解説はとても勉強になります。

セゴビアが参照したとされる「コスト編ソル教本」とそこから抜粋されたと言われているセゴビア編の違いから「セゴビアの音楽的なセンス」を徹底して解説しています。また原典とコスト編、セゴビア編の相違点などガッチリと説明していますので、ソルのエチュードを研究したい方は必携の資料です。

コスト編ソル教本↓
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これがセゴビア編ソル20のエチュードの初版!(1945年発行)

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というわけで、簡単に「セゴビア編ソル20のエチュード」についてまとめてみました。しょうがないので現時点では海外で出版されているものを買うしかなさそうですね。









時代とテンポ感

スペインギターフェスタアカデミーというオンライン講座を2021年4月からスタートしております。スペインギターフェスタメンバーが講師陣。僕はギター史を担当しております。



で、毎日月末に「質問デー」というのをやっており、受講生の方からの質問がいい感じにやってきます。

今回僕のところには「ルネッサンスやバロックの時代の音楽を演奏する際にテンポはどのようなことに気をつけたら良いか?」というもの。

毎回、いろいろな質問を受けて、調べます。嘘は答えられないですからねー。で、資料をいろいろ引っ張り出してきて調べるわけです。ギター史や音楽史についてはだいたいの概要な脳みその中に入ってはいるものの、そこに裏付けが欲しいし、でたらめに答えたくないですからねー。

というわけで、勉強するわけです。

今回用いた資料は以下三つ。

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クヴァンツ。

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モーツアルト父。

そして、上記含め、ルネッサンスからバロックあたりのことについて「あんちょこ」的に丸っとまとめてある本がこちら。

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橋本先生の本、今日はじっくりと2時間くらいかけて再読してみました。もちろんテンポについてのところだけですが、頭がスッキリ。そして、速度記号や拍子記号に関するところも整理できました。やはりテンポは人間の生理的な部分(腕の動きとか踊りとか)に関連していることも多いのだなと再確認。

三拍子のことについても、ちょっと調べてみましたが、バロックギターのサンスの教本のラスゲアードの部分についても、ヒントがもらえました。いやあ、面白い。

良い質問は、刺激を与えてくれます。そして、僕の中の知識も整理されていきます。

脳内の地図(音楽書を整理する)

仕事場の資料書棚。
とある音楽理論書を探していたら、まるで探し物が出てこない。部屋の書棚にある音楽書だけでもざっと、2000冊はありそうな勢い。なので、探すとなかなか出てこないのですよ。

で、「とある音楽理論書」は見つからずに、ああこれは再読してもいいかなあー?って思った本を引っこ抜いてみた。

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本棚は自分の脳内の地図だと思う。色々な情報を本から得て、それを脳内にしまって、たまに引き出す。引き出して少しずつ「自分のアイデア」になっていく。レッスンで使っている言葉や演奏で使っている音楽的なアイデアはそうやって築き上げられたものなのだ。

先ほど、全部をパラパラとめくって、流し読みしてみた。せっかくなので、軽く紹介すると共にどのあたりが今の僕の思考に影響を与えたのか整理してみる。

順不同。重要度は一切考慮しない。アマゾンでリンクがあるものは貼っておきますが、多分今は絶版になっているものも多いでしょうね。ごめんなさい。

では、一冊め。

増田宏三「指揮法&ウィンナーワルツ」
指揮法&ウィンナーワルツ 増田宏三
増田 宏三
パンセアラミュージック
2003-05-29


とにかく拍子のプロポーションが明確。音楽は「音符を弾くだけでは成立しない」と思っていた時期に、たくさんの方法論をもらった。

セイモア・バーンスタイン「心で弾くピアノ」
心で弾くピアノ―音楽による自己発見
セイモア バーンスタイン
音楽之友社
1999-04-01


留学から戻ってきて、教え始めた時に本当に死ぬほど読んだ。練習方法のみならず、音楽を弾く意味や精神的な部分にまで、わかりやすく書いてくれている。数年前にバーンスタイン先生のドキュメンタリー映画がちょっと流行ったけれど、この本を読むほうがよりロジカルに音楽教育メソッドとしては理解できるんじゃないだろうか。

吉田雅夫「よい演奏をするために」

フルート奏者吉田先生の本。シュミッツの「演奏の原理」を吉田先生なりに解釈して読み解いたもの。ギターでは旋律の力学を説明してくれている本は皆無ですからねー。これは本当にわかりやすく、旋律の歌わせ方の理論を与えてくれました。

ピーター・バスティアン「音楽の霊性」
音楽の霊性―ニューエイジ・ミュージックの彼方へ
ピーター バスティアン
工作舎
2000-01T

1994年に買っている。大学生の時だ。後ノリと前ノリなどの「グルーブ」を意識するようになった初めての本。これもまたテンポやアーティキュレーションという観点でも参考にしたことがたくさんある。今でも、この本で学んだことから少しずつ自分の形に整えている感じがしている。

ゲンリッヒ・ネイガウス「ピアノ演奏芸術」
ピアノ演奏芸術―ある教育者の手記
ゲンリッヒ ネイガウス
音楽之友社
2003-06-01

バルセロナ留学中の師匠アレックス・ガロベー先生のおすすめ本。当時はネイガウス本人の演奏も入手困難。でも、本は出ていた。もちろんスペイン語で。必死で読んだ。読んだらアレックス先生が言っていることもなんとなくわかった。音楽の丁寧さと「息」の長さとか短さ…絶妙なバランスコントロールをしないと音楽は死んじゃうよ!っていうことを学べた本でした。ゲーテの引用とかばんばん出てくるので「ああ、西洋の知識人だなあ」っていう感じがむちゃくちゃする本です。
実はゲーテ読まねば!!!って思った最初の本かもしれません 苦笑。

東川清一「シャープとフラットのはなし」
シャープとフラットのはなし
東川 清一
音楽之友社
1998-12-10


読譜の感覚が変わりました。シャープはシ、フラットはファ。そして、シとファのベクトルを考えることはとても大切ですよね。そんなシンプルなところを深ーく掘り下げた本。微妙なピッチ感にも敏感になれるかもしれませんね。

マティス・リュシー「音楽のリズム」
音楽のリズム‾その起源、機能及びアクセント‾ (要約版)
マティス・リュシー
中央アート出版社
2008-03-28

割と強引なところもあるけど、よくまとまっている本。音楽の拍節と、横の流れ(旋律)と和声と、アクセントをうまくからみ合わせて「最終的な表現になる」ということがよくわかります。やってみないとわからないロジックではあるのですが、割とこの分解された考え方は生徒に教える時にとても役立っています。

ジョン・W・デュアルテ「ギターのためのメロディーとハーモニー」
詳細
これはアマゾンにはなかったです。図書検索のリンクを貼っておきました。これは大学生の時に読みたおした本です。今でもたまによみます。復刊したらいいのに・・・と思うクラシックギター本第一位です。
全て譜例はギター曲。ある程度理論を勉強した人であれば、「ああ、あのギターの曲のあの部分は”終止の四六”だったのかー!」とか具体例がたくさん。


てな訳で、こんな感じです。もちろん、これが「僕に影響を与えた音楽書ベスト8」って訳ではありません。他に上げていけば、100冊くらいは紹介できますし、現在も増えています。音楽書って面白いんですよ。本屋に行って真っ先に行くのが音楽書のコーナー。立ち読みして「これは!」っていうのは一箇所でもあれば買います。

本棚は脳内の地図です。だから、図書館には行きません。相当入手困難な書籍でない限りは、買うことが大切。だって、脳内ですもの。

たまに、脳内公開してみましょうかね。しかし、ほとんどギター関係の本なかったですねー。音楽理論や表現理論はやはり他の楽器のものがわかりやすく丁寧ですね。いずれ、自分で表現法のテキストは書いてみたいなーとは思っておりますが・・・

ヤマハ「クラシックギターの教科書」絶賛発売中!

こっそりと私が執筆と録音と動画を担当した教本が出ております。
ヤマハミュージックメディアの「クラシックギターの教科書」です。今までこの教科書シリーズはヤマハが考えるスタンダードな奏法解説教本としてウクレレ、アコギなどが出ていましたが、とうとうクラシックギターがラインナップに加えられました!

クラシックギターの教科書 【DVD&CD付】
ヤマハミュージックメディア
2019-03-23



基礎的な技術については左手と右手に関して相当細かく説明してあります。割と痒いところに手が届く内容になっているかと思います。
クラシックギターを学ぶ上で入門者が疑問に思う点には丁寧に。クラシックギターを学ぶ上でどのあたりに注意をしていけばいいのかなあ?というのも、わかると思います。

タレガからセゴビアを経由したスペインの伝統奏法を踏まえながら、現代的な奏法(身体構造に即した無理のない奏法)をしっかりと盛り込んだ内容となっております。

普段、初心者から上級者までたくさんの生徒さんを教えておりますが、そのときに教える立場から感じた「みんなこの辺りで引っかかるんだなあ」というのを踏まえて、内容を吟味いたしました。

左手各指のバランスの取り方や右手の消音法とpと各指のバランスについては既存の教本ではなかなかシンプルに説明されていなかった内容となっております。

こんな感じ。
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DVDもCDもついておりますが・・・

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QRコードで読み取ってスマホで動画をすぐにチェックすることもできます!
こんな感じでーす。
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一般書店などでも取り扱いスタートしておりますので、是非ともー。紫色の綺麗な色です。
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・・・ということで、出版記念として、この本をお買い上げいただいて富川ギター教室の体験レッスンを受けていただいた上で入会を決めた方に特典です!

富川ギター教室入会金無料&一ヶ月レッスン無料!


(このブログで久々に色文字使ったw いや初めて??)

一応、もしお買い上げいただけたならば、体験レッスンの時もしくは初回レッスン時に持参ください。レッスンをスタートした場合、この教本をそのまま使ってレッスンをしていくことも可能です!
(2019/3/28〜4/25までに体験レッスン申し込みの方に限らせていただきます)

体験レッスン申し込みはこちらから!

ということで、みなさま、この本をよろしくお願い申し上げます!そして、クラシックギターを初めてみたい人、是非この機会にレッスンを富川ギター教室でスタートしてみてくださいね!












合本の悲しみと喜び〜全音ギターピース復刻セレクション

僕は楽譜コレクターです。趣味=楽譜収集と言っても過言ではない。
楽譜の後ろにある出版リスト的なものを見るとそれを全部集めてみたい・・・というのがコレクター心理です。

ギター曲はピースで発売されています。ある出版社からある作曲家や編曲者やエディション監修者のコレクションが出ている。そうなると、それを全部集めたくなる。

そうやって集めていたものが、その出版社が「合本」にしてしまうことがあります。その時の衝撃と言ったら!

何年もかけて、一曲ずつ集めてきたものが全部一冊に!!!!・・・そんな経験をかつてもブログ記事にしております。

この記事

アリリオ・ディアスのエディションは本当に一曲ずつ、ピースを集めたものです。彼が生きているときに合本になって、ぜーんぶ入手しやすくなったのはギター界のためにはとても嬉しいことだったのですが、今までの努力は一体なんだったのか・・・などと、ちょっと悔しい 苦笑。

さてさて、最近こういうものが出ました。

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かつてピースで全音楽譜出版から出ていたクラシックギターピースが合本で!!!

出てしまいました。

全曲という訳ではないので、セレクションなのでしょう。今までなかなか入手しにくかったものや海外版では高かったものが安価で手に入ってしまうというお買い得感満点です!



この中にはタイトル通り、湯の町エレジーなどの懐かしの演歌ギターっぽいクラシックギターアレンジが収められているのですが、しれーっとファリャの「ドビュッシー讃歌」が収録されています。トローバのソナティネも入っているので、とってもお買い得。それぞれを輸入版ピースで買ったから、結構しますから。



これにはなんと!!!ジュリアーニの120のアルペジオが入っております。まー、今はファクシミリ版で当時の出版譜でpdfなどで無料で手には入りますけどね。でも、この全音版の綺麗に浄書されたものは僕も修行時代重宝したものです。
人見徹先生の「六段の調べ」も隠れ名編曲ですよ。

さてさて、もう一冊。



これが一番、すごいかもしれません。
芳志戸幹雄先生編の「聖母マリア頌歌集」が収録されているのです。名編曲なのですが、ずーっと入手困難なアレンジだったのです。この一曲のためだけでも購入の価値あります。

…という風に、超お買い得です!とりあえず買ったらいいんじゃないかなあ?と。

個人的には戦後日本のクラシックギターという楽器が「演歌」「ラテン」「フラメンコ」「純粋はクラシックギター楽曲」とクロスオーバー的に扱われていた時期のピースがいい感じにセレクトされていて、当時の雰囲気を感じ取れるという意味でも、楽しい。

ということで、実は全音ギターピースも色々持っていたのですが、、、ちょっと悲しいです。ですが、入手困難だったものや、レアなものがまとまって手に入ることはとても良いですね。


そして、とにかくジャケがいい。顔がいい。ちょっとレトロな感じがしますが、それが楽譜の美しい顔となっていたのだなあと。

合本の悲しみと喜び、ここにあり。










 
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