ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

イルマル

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リズムのついての一考察〜ソルとイルマル

はじめにリズムありき…といったのはハンス・フォン・ビューローでした。

この言葉を私は留学中読んだピアニスト、ネイガウスが書いた「The Art of Piano Playing」という本で知りました(この本を読め!と勧めてくれたのはバルセロナの師匠であるアレックス・ガロベーです)。

一般に「リズム」という言葉は曖昧に用いられていることが多いようです。なんとなくパーカッションやドラムをイメージしていたり・・・ラテンのノリ(!)のようなものを意識しているようです。生徒さん数人に質問するとそういうイメージを持っていることが多いのですね。

最近レッスンをしていて気づいたことなのですが、「旋律にもリズムがあること」を忘れている人が多いということです。生徒さんをレッスンしていて、ある程度の技術がある人、表現意欲がある人でも、このことを見過ごしていることが多いのですね。

この記事のタイトルに「ソル」と「イルマル」と出しました。ソルは19世紀ですね。古典です。イルマルは「バーデンジャズ組曲」の「イルマル」です。どちらかといえば現代風でラテン音楽の影響が強く、ジャズ風でもあります。しかし「旋律にもリズムがある」という点において、両者とも同じアプローチで楽譜を分析していかなければなりません。このことを忘れて、バーデンジャズ組曲を「なんとなくラテン風」に弾いて満足・・・という生徒さんが多い。むかーしもこのブログで同様のことを書いた気がするのですが、やはり人気曲・・・持ってくる生徒も多い・・・それだけ、このリズム面でのアプローチの曖昧さが実に気になる曲ではあるのです。

(曲に罪がありません。あしからず)

さて、どうしてソルもイルマルも同様のアプローチで解釈できるかということを説明します。

リズムを考える上で重要なのが「反復」という考え方です。

身近な例をあげれば、時計の秒針の音が反復です。タ、タ、タ、タ・・・。ずーと繰り返しますが、これをチックタック、チックタックとグルーピングしたがるのが人間の習性です。ここに一応最初のリズムが生まれます。しかし、そのチックタックを延々を聴いていると「単調」に聴こえてしまいます。そして眠くなる・・・つまり飽きるのです。

しかしちょっと変わった時計があって、このチックタックと定期的にクリックをうっているのに、あるとき突然「タタタタタ!」と1秒間に5回クリックを打ったとしたらどうでしょう?・・・チックタックの反復で眠くなっていたかもしれませんが、目が覚めますね?

チックタックを一定のリズムとして認識すると、それが次も続くのだなあと予測するのが人間の習性です。しかしその予測が裏切られたとき、人は「はっ!」とするのです。

この「はっ!」とする瞬間を作曲家は意識してメロディーのリズムを構成していることが多いのです。単純に考えれば、曲のメロディーは同じリズムを反復することが多く、展開させるために似たリズムをちょっと変形させて「はっ!」とさせることが多いのです。

例えば、ソルの魔笛の主題による変奏曲。テーマ部分がありますね。

「タータタ、ターターターティータン」というリズムのフレーズ。もういちど同じリズムのフレーズが繰り返されます。ここでもう一度全く同じリズムのフレーズがきたら「飽きます」(おそらく駄作です)。次は「タータタ、ターターターティヤンタタータター!…」というふうになりますが、途中まで一緒ですね。しかし装飾音が入っている部分からリズムが変化するのです。これが「はっ!」という瞬間です。そして、この部分を具体的に「変化」が感じられるように音として表現すること…が大切なのです。

もちろん上記の魔笛のテーマには和声進行もあり、この3つめのフレーズまでじょじょに盛り上げてくる雰囲気を作ってはくれています。しかし、このメロディーのリズムの変化する瞬間をはっきりと意識することが楽曲全体の解釈へとつながってきますし、このようなリズムの変化に敏感になることが大切なのです。

で、イルマルはどうでしょうか?

イルマルのバーデンジャズ組曲のシンプリシータの後半部分のボサノバっぽい部分(?)を見てみましょう。

基本的にはシンコペーションを反復と考えて、それが裏切られる部分を意識ということになるでしょう。リズムの裏をとっていて、それが頭にメロディーがのっかることで「裏切られる」わけです。ここを意識する…。それだけでだいぶ曲のリズムがすっきりします。

実際のレッスンでは、もっと細かくみていきますが、単純に考えれば、「予想と裏切り」という概念で、魔笛(古典)もイルマル(ラテン?)も解釈することができます。

この概念に慣れてくると、「お!このバスの進行は次の旋律のリズムの予告だなあ…」とか「あ、またテーマに戻ってきた・・・」とかが分かるようになります。

旋律のリズムに敏感になること…これは凄く単純な理屈なのですが、なかなか生徒さんで自分で気づける人は少ないようです。もちろん、これだけで楽曲の要素全てが解釈できるわけではありませんが、なかなか気づけない点のようです。

是非みなさん、がんばってこの感覚を身につけてくださいね!

 

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バーデン・ジャズ組曲のレッスン

「バーデン ジャズ組曲」(イル・イルマル)をやっている生徒。
 
「このバーデン・・・というのはなんですか?」という質問
 
 
・・・まあ、高校生だからしょうがないか・・・
 
 
この曲のタイトルの“バーデン”とは「バーデン・パウエル」のことです。
 
ブラジルの生んだ偉大なるボサノバギターの名手。
このバーデン・パウエルの音楽のイメージで作られたのが、この曲です。
 
で、8分音符で下降していくフレーズと16分音符で駆け上がっていく音階を「バーデン風にちょっと溜めて、一気にいくといいよ・・・」などとアドバイスしていると・・・
 
その生徒いわく・・・「あ〜木村大も、そうやってました!」
 
違う!それを言うなら「木村大もバーデン風にやってました」でしょ!
 
 
ということで、バーデン・ジャズ組曲をやる人は
必ずバーデンの本物を聴きましょうね・・・
 
それから木村大君なりの演奏を参考にするのが正しい手順です・・・
 
まずはバーデン入門者には
これ!
↓お勧め版です。 


黒いオルフェ〜ベスト・オブ・ボサノヴァ・ギター

 

 

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