ギターコンペティションの北陸信州地区大会の審査です。ギター連盟代表理事の立場として呼ばれています。
一応、スーツ着て、ネクタイなんぞもしめて。それっぽく新幹線乗ります。
ギターコンペティションはアマチュアのコンクールです。このコンペティションが始まった時のコンセプトは「出場して人前で弾くことに意味がある」というのがあります。だから、出場者全員が金から銅までいずれかの賞をもらえるわけです。
とはいえ、そこになんらかの目安がないとギターを学んでいる人のモチベーションとなりません。だから順番をつける。良い音楽、良い演奏ってどういうものなのか?をわかってもらう機会であると考えているわけです。そして、地区大会出場者には審査員からのコメントが後日届きます。
今回の大会でも終わった後講評を頼まれましたが、審査の基準というものをざっくりと話しました。
ギターコンペの場合に大切なのは「表現したいことがあるか?」ということ。そして、それが確実に伝わる技術を持っているか。この2点が大切。
表現したいものがあっても、技術がついていないとダメですし、逆に表現したいものがなく楽譜通りに機械的に弾いていてもダメです。
そして、表現したいものがあるのが前提なのですが、それが西洋音楽の表現理論に合致しているかどうかもによって評価は変わってくるでしょう。和声感、拍節感、リズム、様式感…勉強することがたくさんあります。
例えば、和声感においても、ドミナントートニックの表現の仕方にバリエーションがある。振り幅があるのです。それが奏者の個性ともいえます。でも、絶対にそれはないよね?という弾き方で弾いてしまっている人もいる。
そういう意味での「正しい表現」をしているかどうかです。正しくやれていればいるほど、評価は高くなります。
もう一つ予備の評価基準として「ギターらしさ」というのがあるかもしれません。音色やニュアンスなど、クラシックギターらしい感じというのが感じられれば、さらに評価が上がるでしょう。
なので、ざっくりまとめると以下。
- 表現したいことがあること
- 表現したいことが適切な技術で実現されていること
- クラシックギターらしさがあること
これは、実はどのコンクールにおいても当てはまることです。そして、コンクールじゃなくても、一般に音楽を学んでいる人は全員このことを知っておいたほうが良いです。
うまい、下手…なーんとなく音楽するときに考えてしまっていませんか?今回審査をしていて、ああ技術があるのに、表現したいことないんだろうなーとか、表現したいことがあるのに、こっちに伝わってこないなあーとか、クラシックギターの音色の素晴らしさを出そうとしているのに西洋音楽の拍節感が失われているなあーとか。いろんなことを考えてしまいました。