ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

パルス

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音楽表現を考えるためのヒント4

表現力っていうのはなんでしょうか?そしてどのように学ぶべきなのか?ということをテーマに連載しております。(今のところ、5回まで連載するつもりです!)

今までの記事はこちら↓

音楽表現を考えるためのヒント1
音楽表現を考えるためのヒント2
音楽表現を考えるためのヒント3

ということで「音楽表現を考えるためのヒント」第四回!


今回はこの3つのうち、リズムについてお話ししてみたいと思います。
リズムについては、今までもこのブログで何回か扱ってきました。

例えば、以下の記事。
リズム・パルス・拍節を整理するために!
 

また日曜ワークショップでも、扱ってきたテーマです。
音楽の知識を得ること、そして実践すること 


今まで、個人レッスンやワークショップでずっと私が、言い続けていたことは「リズムとパルスと拍節をしっかりと定義づけてください」ということでした。音楽を専門に学んでいる方、教えている方でも、曖昧に定義付けている方が多いのが現状です。

では、順を追ってみていきましょう。

拍節とはなにか?について考えるためには以下の本が参考になります。


藤原氏の本は、拍節のプロポーションについて実に明快に説明しています。この本で述べられていることをもとに、指揮法の図形などを研究してみると勉強になると思います。 指揮法についてもいろいろな本がでていますが、藤原氏の自然リズムのプロポーションと近い発想をもっているのは以下の本です。

増田宏三
パンセ・ア・ラ・ミュージック
2003-05-29

増田 宏三先生の本は現在入手困難かもしれません。もし、古本などでも入手できれば、是非!…とてもわかりやすい「指揮法」のテキストです。

ベーシックな指揮法の本としては、これです。

【改訂新版】 指揮法教程
斎藤 秀雄
音楽之友社
2010-02-24


この本だけだと、堅苦しくて、わかりにくい…という方にはこの「斎藤式指揮法」の参考書としてこの本がおすすめです。


この高階正光さんの著書は「隠れ名著」だと思います。斎藤式指揮法を「どう教えるのか?」という観点から書かれています。生徒さんとの対話形式で書かれているので、何を注意したらよいのか…ということが読みながらわかります。

指揮法の本を中心に紹介してきましたが、指揮図形のプロポーションに「拍子らしさ=拍のプロポーション」が含まれています。このプロポーションを自分のなかにとりいれることで、二拍子らしいプロポーション、三拍子らしいプロポーションが理解されます。

指揮法を学ぶことは自分の身体のバランスを整えることにもつながりますので、楽器演奏全体にも良い影響を及ぼします。そのためにも指揮法の研究はとても有意義です。

さて、次はリズムについてです。

リズムとは何かを理解するためには以下の本が参考となります。

音楽のリズム‾その起源、機能及びアクセント‾ (要約版)
マティス・リュシー
中央アート出版社
2008-03-26


もう一歩踏み込んで「リズムとはなにか?拍との違いは?」ということを考察したい方には以下の本をお読みください。


 

ジゼール・ブルレによる定義は以下のようなものです。引用します。

「真性な音楽的なリズムとは自由リズムであり、正確にいえば繰り返しを逃れるリズムである。そこで行われるのは似たもの回帰であって、同一なるものの回帰ではない。=拍子は反復し、リズムは更新する」



上記の著作がリズム全般を考える上では必読と言えます。もう一冊、リズムを考える上で必読書があります。

音楽のリズム構造―新訳
G.W.クーパー
音楽之友社
2009-03-09


旋律のリズムについてよくまとまっている本です。認知心理学的なアプローチで書かれています(マイヤーはその分野での巨匠です!)。

音楽の認知心理学的なアプローチって何?という方は、以下のブログ記事を参照していただけるとちょっとわかるかもしれません。
期待と裏切り

上記記事から引用します。


上記のように一定のテンポで弾いていく場合も、テンポが詰まっていく場合もテンポが緩まってくる場合も「期待」があります。「あ、次の拍の点はここに落ちてくるな!」という「期待(予測)」です。しかし、それが「裏切られた場合」、聴き手の驚きを招きます。失望ですね。これはいずれにしても「緊張感」を導きます。


この期待と裏切りを音の長短の組み合わせ(つまり、リズム)で分析していったのが上掲書となります。最初わかりにくいかもしれませんが、じっくりと読んでみるとたくさんのヒントが得られます。

もう少し、このあたりを噛み砕いて知りたい方は以下の著作もおすすめです。


マイヤーの理論などについて、わかりやすく説明しています。

リズムというと伴奏の意味でしか知らない人が多いですが、旋律にもリズムがあります。そして、音楽において「リズムが一番大切」と言い切る人もいます。そのくらい大切なものですので、しっかりと勉強していってくださいね!


パルス、リズムと拍節、拍感…それぞれの用語を丁寧に各自定義を考えていってください。そして、楽曲の中で応用していってください。そうすることで「音楽は生命力の満ちた」ものとなります。

では、「音楽表現を考えるためのヒント5」へ続きます!

音楽表現に関しては、次回の日曜ワークショップでも扱います。 

表現力についてヒントを得たい方…ぜひ日曜ワークショップ「表現力アップの秘訣!」に参加ください! 
詳細はこちら! 

リズム・パルス・拍節を整理するために(いろいろな資料紹介!)

日曜日に拍節とリズムについてのワークショップを行います。
詳細はこちら

ワークショップをする前には、もう一度資料を整理して知識の整理をします。拍節とリズムに関連するレクチャーやワークショップはもう数年前から行っていますし、普段のレッスンでも生徒さんにリズムや拍節についてはしつこーく言っています。現場で実践してもらって、そこからフィードバックをたくさんもらっていますので、もう一度関連する資料を読み直すことで「新しいアプローチ」を得ることもできますし、見過ごしている知識を得ることも可能なのです。

なので、資料はワークショップ前に読み直すわけです。

せっかくなので、読み直した資料をご紹介します。そして、次のワークショップで受講生の方とともに「演奏してみたい!」と思う曲も紹介します。

まずは定番「リズムはゆらぐ」です。

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自然リズム…この言葉は藤原義章さんが提唱している言葉です。フィボナッチ数列や黄金比にその根拠を求めていますので、本の中にはこんな図が載っています。
R0026941










(一時期流行った)「ゆらぎ理論」の分野でも、同様の考え方が提唱されている…とのことで、その例としてなんと我々クラシックギタリストの定番曲である「禁じられた遊び」も譜例として載っています!

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禁じられた遊びの録音を研究し、拍毎のプロポーションがどのようになっているか…を扱った論文があるということなのです。これもワークショップで皆様にご紹介します。

拍子のプロポーションについて、指揮法の観点から見事に説明した隠れ名著があります。こちらです。増田宏三さんの「指揮法&ウィンナーワルツ」です。

R0026944 










通常の三拍子についても詳細にふれられていますが、特に興味深いのはウィンナーワルツについての説明です。一小節を一周期としてとるという原則から導かれる独特の拍のプロポーションを見事に説明しています。

今回のワークショップではウィンナーワルツは扱いませんが、逆にウィンナーワルツを研究することで得られる「通常の三拍子感」とでも言える拍感があります。

R0026945










 通常の三拍子感を徹底して感じてもらうことで、拍節とリズム、そしてパルスについて実体験していただきたいと思っています。

ワークショップでメインで扱う楽曲は以下の二曲です。
フェルナンド・ソル作曲の月光
フランシスコ・タレガ作曲のアランブラ宮殿の想い出

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上記二曲を声部分けして弾く事で、「三拍子」の感覚を掴んでいただければと思っています。メロディーと伴奏部分のリズムとパルスの違いを学んでいただければ十分であると考えていますので、特に独奏で弾けなくても初心者の方でも十分に参加していただける内容にしたいと思っています。

また1月に行ったpart1の内容についても、軽くおさらいをします。
1月の内容についてはこちらのブログ記事を参照してください。また1月の講義を行うにあたって読み直した資料に関するブログ記事もありますので、参考資料など気になる方はご覧ください。

では、みなさまの参加をお待ちしております!
詳細




自分の実感とリンクしたときに初めて「表現」になる

「表現」とはなんでしょう?
自分の中にあるイメージが「表にでたもの」です。

表に出す方法は?…クラシックギターであれば、音で表現しますね。音色の変化、音量の変化、リズムの変化などで「イメージ」を「表現」するわけです。

では、そのイメージはどうやって作っていったらいいのか?…把握しやすのはパルスです。脈拍は誰だって経験しているものです。速くなればドキドキして、テンションがあがります。遅くなっていけば…リラックスしていきます。遅くなりすぎれば、あの世に近くなる。自分の「生命」に直結している感覚なので、わかりやすいのですね。

パルスの変化と、リズムは教えやすいものです。そこにグルーヴ感(つっこんだり、音のタイミングを後ろにずらしたり)などを加えれば、よりバリエーションに富んだものになります。

パルスとリズムとグルーヴは比較的伝授しやすいタイプの要素と言えます。なので、私もこの3つに関しては教授メソッドを自分なりにまとめています。生徒さんのほとんどに体感しやすい類いのものですね。

手拍子をとってもらったり、歌ってもらったりして、上記3つを感じてもらいます。パルスは脈拍、リズムは音価の長短、グルーヴは音のタイミングのつっこみと反つっこみ感…これらは人間の生命活動や身体の動きなどに喩えることができますので、「実感しやすい」のでしょうね。なので、レッスン時でも音楽表現のベースメントはこれらを基本に教えていくことが多いです。そこに拍感を加えていけば、よりしっかりとした表現の「下地」ができます。

音程感や音色のイメージはどうでしょうか?音程感は「歌い手の技術や感覚」をある程度勉強すれば、コツがつかめます。またCDやコンサートなどで歌を聴いて感覚を覚えていく事も可能です。音色は色彩や質感のイメージなどを用いて、養っていく事は可能かな?…とはいっても、これらの要素は「実感しずらい」ものであるようです。

教える側として、いろいろな方法を用いて、生徒さんが持っているイメージを推測し、それを具体的に形にしていく作業をします。それがレッスンというものです。

もともとイメージがない人には「表現」そのものからイメージしてもらうこともあります。半音下降は「行き場がないイメージ」とか…そういうことを言葉にして実感してもらいます。

もしくは僕がもっているイメージを言葉なりギターを通じて伝えて、真似をしてもらう。その上で、イメージを感じてもらう。

…上記のような作業をして、生徒さんにイメージを作ってもらいます。生徒さん本人の中にイメージを実感してもらうわけです。もし、そのイメージの実感がその人の中になければ、本当の「表現」とは言えないわけです。その「表現」は借り物です。

たとえば、クレッシェンドはただの音量の漸次的な増大ではありません。気分の高揚や拡大感…わかりませんが、何かイメージがあるはずなのです。そのイメージが明確でない(実感としてない)ものは「表現」ではないのです。

表面に出ている音が、自分の実感とリンクしたときに初めて「表現」になるわけです。

今、音楽修辞学というものを勉強中です。「型」があります。悲しみの表現や喜びの表現などにある決まった音型があります。「型」の裏にあるイメージは具体的です。

ただそのイメージを知らずに演奏した場合は「型なし」ですね。表現とはいわないのです。音楽修辞学ほど細分化されたものでなくても、西洋音楽にはある程度の「型」があります。音楽理論や認知心理学などを理解すれば、その「型」が成立した根拠もわかってきます。レッスンの現場では、そこから教えます。

そして、イメージを生徒さん本人に実感してもらう。自分の中に取り込んでもらいます。そして、また「型」にもどす。
もしくはその逆です。「型」から根拠を理解してもらう。そして、イメージの実感を作ってもらいます。

なので、音楽を表現することは楽典や和声や対位法を学ぶことだけでは実現できないのです。

いずれにしても、実感は大切ですね。頭で覚える知識よりも実は経験のほうが大切なのです。



 


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リズムの起源と構造(来週の月イチ講座)

ちょっと遅くなりましたが…来週の「月イチ」講座のお知らせです。

音楽表現に関する講義です。

来週の日曜レクチャーシリーズは「生きたリズムとは何か〜リズムの起源と構造」というテーマで行ないます。

講師は若手ギタリストの坂場圭介氏。

内容は以下のようになっています。

  1. リズム、拍子、拍、パルス、テンポといった混同されやすいリズム用語を整理する。
  2. それらの知識を実際に体で感じてみる。
  3. アクセント付けを学ぶ。
  4. 以上の知識を実際にギターの楽曲に応用できるようになる

…以上の内容を学んでいただきます。前半は講義形式、後半は受講生2名によるマスタークラス形式で行ないます。マスタークラスによって理論が実際にはどのように応用されるのかを感じていただきます。

 

会場は 渋谷リフレッシュ氷川です。2009年8月23日(日)、午前9時30分〜12時。

詳細は月イチ講座特別ページをご覧下さい。

 

…私もレッスンでは、リズムの基本構造を説明することが多いです。音楽の基本事項ですが、意外にこれを理解していない人が多いのが現状です。そして、この音楽にとって「基本原則」を学ぶことによって、自分で表現法なども考えられるようになってきます。

私も普段から、生徒に『どうやってこのことを理論的に説明できるのか?』…常に閑雅ながらレッスンしています。

なので、この講義、私にとってもとても楽しみです!!

初心者でも参加可能ですが、上級者、もしくはプロとして活躍されている方にもお勧めの講義です。

是非、みんなで一緒に勉強しましょう!!

 

 

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パルスの均質化(リズムと低音進行の魅力)

先日ブログで演奏と記憶に関する記事を書きました。

この記事です。

そのなかで、パルスの均質化…という言葉を使いました。

で、メールをもらいました。もうちょっと詳しく説明してください…って。

なので、参考書だけ書いておきます。

私が大学時代に『音楽理論独学修行中』に非常にはまった本です。

ベースラインブック

ベーシストである浜瀬元彦氏の名著です。これを読むとベーシストって「音楽家」でなければならないんだなあ…と思います。

最初のほうのリズムの説明は秀逸です。パターンと裏切り…これを具体例をあげて実に見事に説明しきっています。プレイヤーとしても活躍している方なので机上の空論ではありません。このリズムの説明はクラシック音楽家であっても参考になるはずです。

シンプルなタイトルの本ですが、お子様むけの「ほら、こんなベースライン格好いいでしょ?」的なカタログ本ではありません。立派な音楽理論書です。

この本を読むと、ベース奏者というのは実に知的な職業なのだなあ、と思います。

ポピュラー音楽界で、作曲の分野で才能を発揮する人にベーシスト出身が多いのも頷けるような気がします。

 

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