現在、私はプロでやっています。音楽だけで生活しています。なんとかお金も稼いでいます。フリーでやっていますから、それなりの人間関係のきつさは正直ありますし、事務作業や自分なりの営業活動(←基本的に苦手なので貰い仕事ばっかりですが 苦笑)を続けなければなりません。
教える現場、演奏する現場…これら二つがメインとはなります。もうひとつあるとすれば「研究活動」ですかね。そのいずれの現場でも、いざそのモードにはいってしまえば、無我夢中でやっているのは事実です。苦しいと思ったことはないですね。
教える場合でも無我夢中でやっています。
演奏する現場でも、音楽を楽しんでいます。
研究するときも、資料を読むのに没頭、楽譜を漁るのに没頭…
そのいずれも楽しくてしょうがない!…これが本音。なので、プロギタリストになるための方法はない…と言えます。敢えて言えば「現場を楽しむこと!」が一番大切かなあ?…プロ志望の方にはそう答えるしかなさそうです。
つまり、プロギタリストになるための方法は…ありません!
そんなことを考えながら、吉松隆さんのブログの記事を再読しました。
音楽家(作曲家)になるには・なれれば・なれたら
是非、みなさんも読んでみてくださいね(とても面白い文章ですし、音楽家の現実をいたいくらい正確に描写しています!)。結論から言えば「好きで好きでしょうがないから音楽をやっています」というものです。プロになるための絶対法則なんか音楽にはないですよ…ということですね。
自分のことを考えてもそうだと思います。一体どこから音楽で食って行けるようになったのだろう?…どうやってお金を稼げるようになったのだろうか?…と。
40歳を越えた今、こうは言えるかなと。
「音楽やギターという素晴らしさをたくさんの人に知ってもらいたい」という想いでずっと続けて来たのだ…演奏にしても教授活動にしても、それが僕をずっと支えてきました。結局は自分が「これは好きだ!」「これは凄いぞ!」という熱い想い(この無駄なくらいな熱さを私は持っていると思います)が前提としてあります。そして、それをどうしても沢山の人に伝えたい!…というのがあるわけです。
金銭はあとからついてきたものかなあ、と。
音楽だけで生活していくということは、普通の感覚では「無理」と考えてしまうのが普通です。プロになりたい!…と思っただけで、普通の親だったら反対すると思います。学校の先生もそういうでしょうね。音大や音楽関係の学校にいるならば、ちょっと違うかもしれませんが、毎年たくさんの音大生が卒業していきますが、そのなかでプロで活動してきちんと生活していっているのはごく一部です。
学校や一般的な社会では「音楽っていいですね!」という価値観があるとは思いますが、現実は違います。ある意味、浮き世の価値観を忘れて、音楽という魔法にどっぷりと浸かっているくらいの人(取り憑かれている人?)じゃないと続きません。
周辺にいるプロの音楽家の方にはやはりそういうタイプの人が多い。24時間音楽のことを考えています!…という人です。
上記の吉松さんのブログを読んでみると以下のことが書いてあります。
「休みなく作曲してます」と「一万時間には疑問」。
どのような分野においても、ブレイクスルーするには「一万時間」の勉強が必要であるということですが、吉松さんはそれは正しくないんじゃないかなあ?…と言っている。おそらく、「プロになるには1万時間やればいいんだ!」と思っても、無理だよ…と言いたいのでしょう。プロになるひとは結果として1万時間やっているということを言いたいんだと思います。
音楽でプロになる人(他のジャンルでもそうでしょうが)は、食えても食えなくても音楽をやっています。飯食うのも忘れるほど音楽に没頭しています。その結果、プロとしてお金がついてくるものなのです。逆に言えばそういう「想い」や「勢い」や「没頭」がなければ、1万時間やってもプロになる保証はありません。
プロになるためにはいろいろな知識や経験が必要です。とはいっても、それは紙にリストアップできるようなタイプなものではないのです。
「クラシックギターのプロギタリストになるためには何をどのくらい勉強すればよいのですか?」と訊かれれば、教師として(師匠として)本音を言わせてもらうならば、こう答えるしかないでしょうね。
「クラシックギターと音楽の全て!」
…そう答えたら真面目なお弟子さんなら、「じゃあ、まずはルネッサンスから始めて…古典もやって…近現代だとポンセかな?あ、その前にタレガの主要な作品をやって」とか考えてしまうでしょうね。勉強する項目をリストアップしていきたくなります。
リストアップした暁には…その膨大な量に圧倒される。無理だ…自分には…と普通は思うものです(実際自分もそういう時期ありました)。
プロではやっていけないだろうなあ…と思ってしまえば、ギターや音楽には没頭できなくなります。なので、この思考プロセスはお勧めできません。
そういう方法ももちろんあっていいでしょうが、最終的にプロになる人はこのようなプロセスは辿らないような気がします。
考えなくても、好きになった曲を弾いて、好きになった作曲家のことを研究しています。とにかく弾いているでしょうし、自分が身につけたスキルや知識を自慢げに他者に伝えたいという欲求を持ちます。
…そんなものです。プロになれる人って。考える前に「飛べ」。そういう人がプロになっていくような気がします。
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