- 無駄を積み上げる5年よりも、じっくりと基礎から積み上げた3年のほうがよほど上達する。この意味での上達はしっかりとした音楽的ベースメントのことをいう。
- 正確な運指、正確な譜読みは、音楽作りの最低条件。正確な運指は運指の校訂者にもよるが、市販の楽譜はそれなりの人がつけているはずなので、よほどの問題がないかぎりはそれにしたがって練習するのが、初心者&中級者の鉄則である。
- ポンセ、エストレリータ。リズムの要素を細かく分析し(認識して)体にしみこませていく。全体の雰囲気をつくるのはそれから。音楽的な面、技術的な面を同時にみていくことが練習を効率よくする方法である。
- アメリアの遺言。オクターブハーモニクス。左手の押弦と右手の発音。左手メロディーのフレット感覚と、右手の移動距離をリンクさせる。12フレットのナチュラルハーモニクスを弾くときは、ゼロフレット(ナット)を押さえているつもりで…。
- ポジション移動のときに、体の中心線を崩さないこと。中心の意識が途切れるとミスが多くなる傾向が(誰にでも)ある。
- 緑の木陰にて。中間部の長調部分。いろいろな左手運指が考えられる。いくつか教本や曲集をあたってみると、意外にバリエーションに富んでいる。それぞれ、どのようなニュアンスの違いがあるか、研究すべし。
- 古典のヘミオラ。基本の拍子のほうで「体でリズムをとる」くせのある人はヘミオラを感じにくい傾向にある。逆にヘミオラ(裏リズム?)に体の動きを合わせる練習をすると良いかもしれない。最終的には頭のなかで「ふたつのリズム」をしっかりと認識することが大事。
- 音楽表現にはいくつかのルールがある(いくつか…たくさん…かな?)。例えば、シャープの方向性、同音連続の処理、半音下降…これらを自分の判断で楽曲のなかで見つけ、応用する。それがあっているか、あっていないかは、耳で判断。このような「現場処理」を学ぶためにはエチュードが一番。上級者のエチュードを用いたレッスンは技術、様式を学ぶとともに、この「音楽表現の現場での処理」を学ぶという面が大きい。
- ヴィラ=ロボス、ヴァルサ=ショーロの長調部分。フレーズのクライマックスは割合、直感的に認識できるという人が多い。録音や他人の実演を聴いても、それは認識しやすいからかもしれない。問題はそのクライマックスへ「どこから向かっているか…」を考えることである。専門用語でいうとアナクルーズはどこか?…を考えることである。そういう意味でこの曲の長調部分は試金石かもしれない。
- ラグリマ、ソネト版。中間部がついているバージョン。この運指が凄い練習になる。2=4または3=4ペアの連続!…練習好きな人はどうぞ。
ヘミオラ
最近のレッスンでよく使う言葉に「におわせる」があります。
例えば、ここは「2拍子であるようなないような・・・」と説明しなければならない場所があります。一番良く出てくる例で「ヘミオラ」でしょうね。3拍子の中に2拍子の感じが含まれている場合ですね。これを単純に2拍子と思ってノリを作ってしまうとこれが「ダサい」「クドい」「分かりやすすぎる」わけです。なので、基本的には3拍子で弾きながらも、そのなかにあるもうひとつのリズム2拍子を感じるわけです。これが「におわせる」というニュアンスなのでしょうね。
また音のグルーピングの場合にも当てはまりますね。また内声の進行を際立たせることがポイントの部分でも、この言葉を使う場合も多いです。
もちろん、匂わせる前に、はっきりと意識する・・・ということも大切です。なので、強調してまずは練習する。これは和声の部分的な解決などにもいえることです。極端な話半音下降のメロディなどは「ドミナントー解決」の組み合わせとも考えられるわけです(わかるかなあ?)。「半音下降らしく」表現するためには、最初は全部上記のように解決感をつけて区切って練習すると感じがつかめます。それから音のグループを滑らかなラインにしていくわけです。
極端な話、細かく区切っていけば、2音の間には絶対に主従関係があります。この関係が「王様と家来」というふうになる場合もあれば、「王様とこじき」となる場合もあります。「王様と女王様」(どっちが強いんだ?)という場合もあるわけです。もちろん同格の場合もありますが、音楽というのは経験上、主従で考えたほうが豊かな音楽が作れるような気がします。
さて、そのように割合明確に音の関係性を捉えて、“誇張して”表現練習をしたあとは、それを“忘れて”今度もより大きなフレーズを見ながら演奏します。行き先を決める…という感じでしょうか?
その行き先もはっきりと定めて、「よーし、ここで一旦休憩!」とか、「一気に緊張感を高めて、ここでクライマックス!」とか…このような感じで、誇張気味で練習しておきます。…そしてそれを“忘れて”、次はより大きな構成を見据えて演奏してみるのです。
このようにしていくと、表現における「匂わせる」というニュアンスが理解できるかもしれません。
結局は細部を丁寧に見ていき、大きい流れも失わない…ということを目指すために実に有益な言葉なのです。
誇張して細部をチェックする段階で、そこに気持ちや感情などが注入できればより良いですね。そしてその感情の流れを少しずつ大きなパーツにしていく。こう考えていくと、ある曲の一音目が始まった瞬間に、最後の音が見えるというのが良い演奏なのです(もちろん演奏者本人が)。
その場、その場で「頭で考える」「作られた」音楽は実に醜いものです。
「よーし、ここはクレッシェンド」とか、「次の2小節はフォルテ!」とか…これでは表面上表現がついていたとしても、音楽とはいえないと思います。
表層的な音楽を避ける、人工的な音楽を避ける、人為的な音楽を避ける…ということが演奏表現において重要であるということです。そして、そのような醜い音楽を作らないためにも「匂わせる」という感覚は是非知っておいて貰いたいと思うのです。
そして大事なのが、自分でこの「匂わせる」表現ができるようになると、他人の「匂わせ方」も分かるようになります。
CDなどで単調に聴こえていて「つまらない」と思っていた奏者が、この「匂わせる」というニュアンスがわかると、突然「凄い深い表現をしている!」というふうに思えてきたりするから不思議です。
この「匂わせる」という言葉には「上品さ」という言葉と同義かもしれません。全ての表情を分かりやすいように表に出してしまう演奏家も多いですが、実は巨匠と呼ばれる人にはこの「匂わせる」表現が上手い人が多いのです。こういう人のことを本当に巨匠と呼びたくなるものです。
文章で説明するのは実に難しいのですが…(レッスンで具体例を知っている生徒さんは「そうだよね〜」とうなずいてくださいね!)
…以上、最近なんとなく思っていることでした。
- 19世紀ギター
- AcousticLadyland
- CD
- GGサロン
- あづみ野
- あづみ野ギターアカデミー
- ねこぢた
- まとめ
- アコレデ
- アルカンヘル
- アレンジ
- アンサンブル
- エチュード
- カルッリ
- ギター
- ギターコンペティション
- ギターデュオ
- ギター教室
- ギター史
- ギター奏法
- ギター連盟
- クラシックギター
- コンクール
- コンサート
- スペイン
- スペインギターフェスタ
- セゴビア
- ソル
- タッチ
- チャリティ
- テクニック
- テクニックノート
- テルツギター
- デュオ
- トリオ
- バロックギター
- ビウエラ
- フルート
- ブログ
- ホームページ
- ホセ・ルイス・ゴンサレス
- マスタークラス
- ヤマハ
- ユベントス
- ライブ
- ラス・マノス
- ラスマノス
- リオリコギターアンサンブル
- リコーダー
- リサイタル
- リズム
- リハーサル
- レッスン
- レッスン覚書
- レッスン覚書ミニ
- レパートリー
- ワークショップ
- 安曇野
- 運指
- 演奏会
- 音楽表現
- 歌
- 楽器
- 岩崎慎一
- 教室
- 教室行事
- 月イチ
- 現代ギター
- 公開レッスン
- 高橋明日香
- 国分寺クラスタ
- 左手
- 執筆
- 生徒
- 石塚裕美
- 洗足学園音楽大学
- 奏法
- 大阪
- 大泉学園
- 弾き初め会
- 池田慎司
- 爪
- 天真庵
- 藤井眞吾
- 藤沢エリカ
- 日曜ワークショップ
- 発表会
- 表現
- 表現法
- 富川ギター教室
- 富川勝智
- 編曲
- 忘年会
- 予定
- 林祥太郎
- 練習
- 練習法
- 連載
- 録音
- 和声学