- カントリーグリップの発想で押弦すると手首の関節と腕とのリンクが途切れない場合が多い。その場合でも左手親指の位置を微調整すること、そして、指の曲げ具合など各人の体格に合わせた指導が必要ではあるが。
- アメリアの遺言。和音を押さえるところで腕の重心を意識する。もちろん体の中心線を意識するように。正しく身体を位置させること。
- 盗賊の歌。原曲をしらないと、あの「ほうりなげるような歌いまわし」は再現できないし、リズムを間違うことになる。正しくスペイン民謡のリズム感で弾けている人はほとんど日本人でみたことがない。(注:日本に戻ってきてからね)
- 盗賊の歌。そのアーティキュレーションは正確に楽譜に書き込んである。各スラーの意味をしっかりと考えることで、だいぶ「本来のリズム」が再現できるはず。
- パガニーニ。ちゃんと楽譜を読むことで、いろいろなアイデアがでるはず。機械的に弾いたらロマン派にならない。レガートとスタッカートもしっかりと弾きわけること。立体感のある構成にすることが大切。あとキーワードとなる音(何回もでてくる音)にも意味を持たせること。
- 弾き始めるまえに「どのような場合でも」テンポ設定を自分の中で済ませること。
- トリーハ。美しい曲。和音はきりっとした音色でやったほうが、各音の分離が可能となる。柔らかい音は和音の各音の粒立ちを殺す。名器であれば、これは柔らかろうが硬かろうが、声部の分離が比較的実現しやすい傾向にはあるが。
- 音色の変化は右手のアングルによるところが大きい。弾弦位置がブリッジよりでも、まろやかな音はでる。音色は、アングル+弾弦位置によって無限のバリエーションが得られる。
- 音高が高い音ほとエネルギー量が多い。音量が大きいほうがエネルギー量が多い。フォルテアのワルツの連続するレの低音はPのタッチによる音量コントロールの練習に最適である。こういう風にどのような曲でもその生徒の欠点を補強するように利用できるのが、教育者の腕。
- だから、先日述べたように「まったく基礎から習いたい!」といっても、僕はその生徒が今までやってきた楽曲のなかでしばらく様子を見ることにしている。同じ曲を習っていても、教える側の手腕で、まったく違う様相を見せるのが曲というものだ。そこから生徒が今までの自分のテクニックや音楽観を再検討し、新しいディレクションに向かおうとする姿を見たいと思ってレッスンしている。
- そのディレクションに気づいたとき、まったくその生徒さんがやったことがない曲やメソッドで再確認していくことはある。
- アナクルーズ、デジナンス。頂点。車のドライビングに似ている。完全停止は楽曲の最後だけ。「あ、信号だ!」と思ってブレーキを軽く踏む。これがデジナンスのお尻のほう。さて、快調に60キロまでアクセルふかすかーと思って、60キロちょいでてしまうのがアナクルーズから頂点。でも、楽曲全体は平均60キロで。ブレーキ踏みすぎると、ある部分だけ40キロとかになってしまって、後ろの車からクラクションならされますよ。
- ヘンツェのノクターン。かなりゆっくり弾いてもフレーズ感が明確ならば、ちゃんと曲になります。
- 生徒に左手だけ弾かせる。私が右手。左手だけでもイメージがしっかりと作れるように。暗譜の確認。
- ヴィラ=ロボス。エチュード4番。リタルダンドとアラルガンドの表記の違い、ニュアンスの違いをチェック。ヒントは前後にある。グランジオーソのイメージもしっかりとつくること。アクセント後の音色の変化をしっかりとつけるべし。
- カルッリ45の17番。八分音符の音価をしっかりととる。ゆっくりとしたテンポで表現をつくる。全体のテンポ感をイメージするためにメトロノーム聴きながら練習すること。どの点でジャストに合うか?・・・ということを意識して練習すべし。アナクルーズの部分、デジナンスの部分をしっかりと定め、頂点にむかって「しっかりと向かっていくこと」。慌ててはいけない。慌てるとテンポが乱れる。
- ヴィラ=ロボス、プレリュード5番。中間部。音程に気をつける。3度以上の音程は基本的に「跳躍」とみなす。エネルギー量が高い。それを消化するための音の処理に気をつける。