さて、忘れる前に日曜日に行われた日曜ワークショップについてレポートしておきます。私の雑感も交えて・・・。
坂場圭介さんによる「消音法」のレクチャーは実に実践的にして、理論的、そして体系がしっかりとしたものでした。
消音とはなにか?・・・消音法の重要性を表現と技術との関連で説明していました。 この「表現と技術との関連において」という部分がとても重要です。
消音というものを意識して右手のフォームを作っていかなくてはいけません。それも比較的初期の段階で・・・。よくアポヤンドをべたーっと寝かせるようにフォームでしか弾けない人がいますが、それだと消音技術の中でもっとも重要なひとつである「pの背中による消音」が不可能です。
どの教本においても最初の段階で消音を意識したフォームを最初の段階では教えるようにはできていません。
私はレッスン時において、まったく初心者の段階において、できるうるかぎり「将来消音が必要になるであろう」ことを想定としたフォームを作るようにこころがけています。
このことは初心者の段階であれば理由を説明しないことも多いです。しかしギターを初めて1ヶ月あたりの段階で、pのフォームをできるうる限り「消音が可能な」フォームに固めておくことが最重要課題でもあります。
このことに関しては坂場さんはさらっと述べるに留めていました。
さて、本題にもどります。
レクチャーはその後以下のように基本的な消音すべきケースを分類して進行しました。
- 順次下降音形における開放弦→左手による消音
- 隣接する低音開放弦
- 休符
テキストには上記3種類のケースが記載。
1に関しては、音階を用いて説明していました。音のにごりを消す、2度の不協和音程を解消するということにおいて説明していました。
2に関しては、pの技術です。直接消音と間接消音。和声の進行を明確にするために・・・ですね。
3に関しては、 楽譜に書いてある休符を意識することです。つまり「書かれてあるとおりの音価で演奏する」ということですね。
さて、私の雑感。
私個人のレッスンでは、基本的に初心者に関しては1の「左手による消音」は伝授しません。左手のフォーム、関節のコントロールがポジションを意識してしっかりとマスターできるまでは伝授しない方法となっています。
先月の私が担当したレクチャーで説明しましたが、左手各指の関節のコントロールにはかなり入念な準備が必要です。初心者や中級者の場合は、まずはポジションをしっかりと・・・そして、安定した「ベースとなる押さえ方」を習得するのが第一であると考えています。
2の右手親指のテクニックに関しては、前述しましたが、かなり早い時期にマスターさせます。これは右手のほかの指のタッチにも影響しますので、最終的には音色にも影響します。実際、私のレッスンの場合、この右手p指の直接消音、間接消音の2種類を技術的に完璧に・・・そして、音楽的に「耳で聞いて不快な音のにごり」を出さないようにできるまでは、そのほかの消音技術については教えません。
今回出席した受講生は、ほぼ全員上記のpの消音法はマスターしていたので、問題はないですが、現実問題としてギター独学の方のほとんどはこの消音法について知らない方が多いのです。
3については、私の場合、適宜教えることにしています。基本的には直接消音を用いることになります。
そのほか、坂場講師に言葉のなかで興味深かったのは「後止め」というものです。
これはたとえば、4弦のレの音のあと、6弦ミを弾かねばならないときに、「どのようにして4弦開放弦の音を消音するか?」というときに用いるものです。ミを弾いてから、レを「後から消す」ので・・・「後止め」という言葉を使っていました。
(この用語は私もレッスンで用いていく予定です!)
実際、私のレッスンでこの「後止め」はある程度のレベル以上の人にしか教えません。もしくは上記2の「隣接する開放弦の消音」が完璧にマスターできた人で、且つ『和声の進行を聞き取れる耳ができてきた』人に教えることにしています。
逆にいうと『和声の進行を聞き取る耳ができれくれば、上記のような4弦開放と6弦開放の混じりは不快に聴こえてくる!』ということです!!
すこし、敷衍して考えていくと、この「後止め」というものがあるのであれば、「先止め」(もしくは「前止め」?」というものもありはずです。
たとえば、低音にスタッカートの指示があるとき・・・とか・・・。用いていけばいいはずです。
あと、「後止め」には、声部をレガートにつないでいく効果もあります。「同時止め」であれば、不思議にレガートに聞こえにくいものなのです。音と音は若干重なりがあったほうが「連結されて聴こえてくるもの」なのです。
というふうに、消音法というものは、実に音楽技術に直結したものです。
坂場さんの講義は、この「消音法」をみごとに分類していました。すばらしい講義であったと思います。ギターを教える仕事をしている人であれば、今回の講義で「ものすごいネタ」を仕入れることができたでしょう!
すべて知っていることと、「整理してあること」は別ものです。
ギターを学ぶ人、ギターを教える人が、このことをしっかりと理解するまでこの「日曜ワークショップ」は続けていくと思います。
もうちょい書きたいことがあるので、続きはまた別記事で!