ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

理論

2019.8 新サイトOPEN!
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富川ギター教室(東京渋谷) https://tomikawaguitar.com
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※他に池袋現代ギター社でもレッスンしています

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日曜ワークショップー楽典の基礎〜和声編

(また突然の告知となりましたが・・・)
10月14日(日)に日曜ワークショップを行います。
テーマは「楽典の基礎〜和声編」です。
毎月1回、当教室で行っている日曜ワークショップですが、定期的に音楽理論や楽典の知識の講座にしようと思っています。その2回目ですが、単独ででても問題ありません。

テーマ:楽典の基礎パート2〜和声の基礎1

講師:富川勝智

内容:クラシックギター学習のために必須の音楽理論、楽典上の知識を二ヶ月に一度集中講義しています。今回は和声の基本について説明します。基礎の基礎から徹底的 に実際にギターで音を確認しながら、学習していきます。ある程度ギターを弾く事が出来る方であれば誰でも参加できます。是非、 多数の方のご来場お待ちしています。

会場:渋谷リフレッシュ氷川
参加費用:2000円
準備物:ギター、足台、筆記用具
※申し込みは不要です。直接会場にお越し下さい。


詳細はこちらもご覧下さい。

シェーンベルクとギタリスト(和声のどつぼに嵌るための参考文献)

実は周辺にいるプロギタリスト志望およびすでにプロとして活躍している人とで勉強会をスタートしました。

すでにコンクールなどで優秀な成績を収めている若手が中心です。

もともとは私が20代のころに読んで勉強になった本で、今再読しても発見のあるものを勉強しなおしたいなあ!・・・と思ったのがきっかけです。ちょっと偉そうに先輩風を吹かしてみようかなあ・・・と。で、周辺にいるプロギタリスト及びコンクールで活躍中の若手に声をかけてみました。自然に集まりました。

読書会的なものです。人間ひとりで勉強するのは大変です。みんなで集まればいろいろとアイデアも沸くでしょうし。

課題図書はシェーンベルクの「作曲の基礎技法」です。

賛否両論ありますが、私はシェーンベルクのロジックが好きです。できるうるかぎり言葉で説明しよう!と考えている点が素晴らしい。音楽家として「言葉でできるうるかぎり説明したい」と考えることは重要だと私は思っています。音は言語化することは完璧にはできませんが、将来教える立場にたったときや、ほかの音楽家と議論しながら音楽を作っていく現場にたったときボキャブラリーは豊富であるに越したことはありません。

シェーンベルクなりの「言葉の使い方」というものを勉強できればなあと思ったわけです。通称「シェーンベルクゼミ」です。なにか秘密結社みたいでいいでしょう?

というわけで、1回目が終わりました。どのように勉強していこうか?というところから話合いました。まずはシェーンベルクの言わんとしていることを理解するために音読。そして、そこから譜例をできるうる限りギターで音をだして耳で確認。。。次回までギター曲の中で同じような例を探す「宿題」も出しました。

まあ、私は進行役みたいなものです。ちょっとだけ経験が多くて、若手よりは年食っているだけ&一応プロとしてこれで飯を食べてる・・・というだけです。みなと一緒に勉強して非常に楽しかったです。

そして、うーん、音楽理論って深いなあ!と思ったわけです。

若いころいっぱい音楽理論の本を読んだなあと思いました。1回目のゼミが終わったあと、ひさびさに引っ張り出した本はいくつかありました。

シェーンベルクの和声学の本。対位法の本。両方ともスペイン語版で読みました。(シェーンベルクの和声学の本は英語版ももっていて、今はそれしか持っていません。スペイン語版はどこいったのだろう???)

久々に以下の本も読み直しました。和声の歴史を俯瞰できて、歴史のなかで和声がどのように変化していくかよくわかります。あと、シェーンベルクの「調域」の概念も簡単に説明されています。

和声の歴史 (文庫クセジュ 448)
和声の歴史 (文庫クセジュ 448)
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白水社クセジュなので入手しやすいです。

以下の本も和声の深みに嵌るためには必読だと思います。私は大学生のころ呼んで「!!!!」と思いました。和声って深いなあ!面白いなあ!って思った本です。

和声の変貌―音高組織の論理 (1980年)
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ただし、現在絶版かな?図書館でも借りてぜひ読んでもらいたい本ですね。

シェーンベルクの和声と対位法の本は昔邦訳がでていましたが、現在は入手困難なようです。

「和声の構造的機能」の英語版は比較的安く入手できます。

シェーンベルクの「調域」の概念はドイツにおける西洋和声学のひとつの到達点であるといわれています。ぜひ知っておいて損はないです。

Structural Functions of Harmony
Structural Functions of Harmony
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作曲の基礎技法のほうはシェーンベルクがそれまでのベートベンなどの古典作品を分析し、どのようにして作品が生まれていくのかを分析していっています。

同様のことはわれわれギタリストの作品にも見出せるのか?・・・そんなことを考えながら、シェーンベルクゼミは進めていきたいと思っています。いったいどうなることやら・・・。でもやってみなくちゃわからない!・・・それが勉強だろうなあ、と思うわけです。

さて、和声に関してもうちょい読みやすく、入手しやすい本はないかなあ、と思い出した本。ありました!

憂鬱と官能を教えた学校 上---【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史 調律、調性および旋律・和声 (河出文庫 き 3-1)
憂鬱と官能を教えた学校 上---【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史 調律、調性および旋律・和声 (河出文庫 き 3-1)
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憂鬱と官能を教えた学校 下---【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史 旋律・和声および律動 (河出文庫 き 3-2)
憂鬱と官能を教えた学校 下---【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史 旋律・和声および律動 (河出文庫 き 3-2)
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ハードカバーで1冊にまとまっていたものが、文庫になっています。講義を文章化したものなので、読みやすいです。和声ってそういうものなのかあ!というのを「なんとなく」わかりたい人にはお勧め。きちんと読めばいろいろな問題提起がされていて深読みも可能な本です。

・・・というわけで、和声学に関連した参考図書をご紹介しました。

和声っていうのは深い学問です。そして、実は作曲家ごとの哲学も含まれていますし、哲学そのものである場合もあります。そういう意味で非常に面白いものです。

みなさまもその深みにはまってみましょう。どつぼに嵌ることもありますが、それも楽しくなってくると思いますよ(無責任!)。


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ソルの「3度理論」〜今月の月イチ

すっかり遅くなってしまった今月の「月イチ講座」の予告です。
14日午前9時30分から行う予定です。講座の内容を「音楽理論」に関わるものにします。

いわば先月行われた池田慎司さんによる「フレットボードの音を覚える!」講座と、ギター連盟主催で行われたギター和声(坂場圭介さんが担当した講座)をミックスして、また別の観点から理論と指盤上の知識を深めようという講座にしたいと思います。

そして、そこに若干、ホセ・ルイス・ゴンサレス氏のテクニックノートとの関連も述べていきたいと思っています。

もちろん、上記二つの講座に出席しなかった方でもわかるようにゼロからレッスンしていきます。


おそらくこの講座に出ていただくと、非常に理論面、ギター史(一般音楽史)との関連が見えてくることでしょう。

完全音程である1度、4度、5度が支配していた世界から、バロックから古典にかけて長短3度の響きを重んじることになりました。この点をはっきりと意識していたのがわれらがフェルナンド・ソルです。

フェルナンド・ソルこそ、3度=クラシック音楽の基本と考え、それをギターの機能と密接に結びつけることに成功した人物といえるのです。

ソルのギター教本をしっかりと読み解いていけば、その考え方が非常に画期的であり、且つ「シンプル」であったことに気づきます。ソルはけっして「フレットの音すべてを覚えろ!」とはいわないタイプの教育者であり、音楽家であったのです。それよりも、「まずは音楽理論を知るべき!」=「音楽の基本を知りましょう!」という人であったのです。

そして、彼の考える音楽の基礎というものは、やはり「古典音楽のマナー」というものに準じています。そこに現れるのがソルの「3度理論」です。(ちなみにこの「3度理論」は私の造語ですので、ご注意を!)

そして、このことがはっきりと意識してもらえると、ソルの生きた時代、つまり古典時代の音楽の特徴が見えやすくなります。同時にそれ以前の音楽の特徴もはっきりとわかるようになります。このことが「音楽史を生きた知識」にするということになるのです。

私は先日行われたギター連盟ユベントスのワークショップで「ギター史」を担当しました。実は、一気に中世からルネッサンス、バロック、古典、そしてロマン派、タレガ時代までを概観してしまいました。

たった1時間と10分でしたが、まずは重要な年代を覚えてもらうことが目的でした。

そして、なによりも大きくつかむことにより、まずは「そういう時代があるんだなあ・・・」という基礎知識を持ってもらうことを旨としたわけです。

そうしなければ、ソル=古典時代、、、という図式すら描けなくなりますから。

そして、私にとって、古典の音楽マナーを徹底的に意識してギターと格闘し指盤上の機能とその音楽書法を合致させたのはフェルナンド・ソルなのだなあという認識でいます。


ということで、次回の月イチ講座、みなさま是非お越しください。もし、池田慎司さんと先日のギター連盟ユベントスワークショップに出席した方であるならば、より深くフレットボードの知識を深めることが可能です!


詳しくは下記リンクをご覧ください。

http://guitar.sakura.ne.jp/school/contents/tsukiichi.html

指関節と腕のバランス〜帰納と演繹

昨日は朝から「日曜ワークショップ」でした。

いやあ、しかし、朝から暑かったです・・・。でも受講するかたもきちんときてくれてよかった。(これで、1人とかだったら悲しいですもんね)

さて、昨日のテーマは「クラシックギター奏法基礎講座〜指関節と腕のバランスを中心に」というものでした。

2010年8月日曜ワークショップ










まずは指の関節の定義からスタートしました。今後、解剖学的なアプローチで指の関節の名称は定着していくでしょう。第1、第2、第3などというあいまいな表記は根絶されるべきです。

その後、ギターの基本的な弾弦アクションの説明と、関節の可動との関連について。そして、関節の固定化とそれを「ギターを使わずに」体感するトレーニング法なども紹介。

あとは腕の構造を解説。尺骨ととう骨とギターのフォームとの関連性を説明。実はこのバランスについて説明すると、既存のギターフォームのほとんどが説明できてしまうのです。

あとは、上記のことに関連したホセルイスゴンサレステクニックノートの関連練習を説明。

和音によるトレモロ練習とMCP関節についての関連性についても述べました。

そのほか、ラスゲアードや「逆タッチ」についても解説。


いろいろと説明しましたが、腕と指の関連性について説明したものです。あとはJLGテクニックノートに関して、帰納法、演繹法・・・について説明。これは「生徒が教わるときに意識すること」そして、「教師が教えるときに意識すること」・・・という点にも関連しているので、述べました。

この帰納法、演繹法・・・言葉にすると難しいですが・・・これが理解できていないと、学ぶのにも、教えるのにもいずれ葛藤を抱えることになります。もっと、フォーカスを定めて、ギターのテクニック練習や基礎トレーニングについてもそうです。特にJLGテクニックノートは「帰納法」的な感覚が強い教本です。

私としては毎回日曜ワークショップは演繹法的な姿勢で臨んでいます。すべて明解に理論的に説明しようと考えています。しかし、実際にレッスンの場では、帰納法的教授法を使う場合もあります。そして、演繹法的な教授法にシフトする場合もあります。

この両者の「揺れ動き」は、完全に理性でコントロールしなくてはいけません。

・・・どちらにしても、奏法理論については、もっと解剖学的に明解に!・・・そして、きちんとした理論を確立していかなくてはと思っています。

(この点については徹底的に演繹的でありたいと思っています・・・)


次回の、日曜ワークショップは外部から講師を迎えて行います。

お楽しみに! 


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「教える」こと(第2回)〜理論、そしてケーススタディーから理論へ

「シルバーウィーク」特別連載企画です。

「教える」ことについて書いています。

理論は様々なケーススタディから抽出される。そして抽出された理論をまた現場で応用していって修正+改善。

様々なケース→理論化→その理論を現場で検証→修正&改善

ということを前回の記事で書きました。

そして、その理論は多くのケーススタディーを経て、現実に有効なものになるのです。私は理系ではありませんが、なんとなく理系の方にはこの考え方が理解してもらえそうな気がします。

さて、話はすぱーんとすっぽ抜けるようですが、クラシックギターは(もちろんそのほかの楽器もね)とても複雑な楽器です。そもそも複雑で不完全な楽器の割りには高度な音楽を演奏しなくてはいけません。そして、クラシックギターの特殊な点として、右手指でダイレクトに演奏します。持って生まれた爪の形状や手の構造や形をそのまま用いて演奏しなくてはいけません。

手は医学の分野でも「未知の領域」だそうです。ものすごい複雑な動きをするので、脳みそもフル稼働していることでしょう。

そのようなことを考えると、やはり自分の体については自分が一番よく理解しているに違いありません。逆に考えると、その裏に自分に支配されている体癖も無意識に存在するともいえます。最終的にはその体癖を生かした奏法を身につけなくてはいけないのかもしれません。

さて、脱線するといけないので…話をもどします。

上記のように生徒さんは各個人、なんらかの癖をもっています。それは肉体的にも精神的にもです。

その癖を活かしつつ、且つ日常の生活で身についている悪癖を毒ヌキしながらレッスンしていかねばなりません。この毒ヌキは肉体面、そして精神面、考え方にも及びます。

もちろん、上記のことはクラシックギターと音楽に関してのみです。しかし、音楽への取り組み方を見れば、その人の人生観も分かるといえます。その人がどういう気持ちで仕事に取り組んでいるのか…もなんとなくわかってきちゃうものです。

つまり、いろんな人がいるということです。そして、ギターの奏法や表現、そして普段の練習に仕方、各人の人生におけるギターの位置づけ…などをなんとか「正しい方向に導く」ことが教師の役目です。

その導き方は各人のペースや理解度、身体機能によってまったく異なってくるということです。これはケーススタディーを重ねることによってしか、理解できない部分であると思います。

今まで10人しか生徒を教えていない先生は10人分のケーススタディーしかこなしていないということになります。
もちろん、理論面がしっかりしている先生は10人に対して「間違ったこと」は教えないでしょう。しかし、自分とまったく違った体格の生徒さんや、癖をもった生徒さん、または精神面でまったく違う気質をもった生徒さんと対面したとき、『どのようにその理論をその生徒さんに伝えるか』ということを考えなくてはならないでしょう。

逆に1000人の生徒をレッスンしたことがある先生であっても、理論のベースメントがない先生は駄目です。生徒さん主導のまま終わってしまって、理論の確立ができないからです。

理論はやはり現場で多くのケーススタディーを経て、修正されてはじめて「正しい理論」に近づいていきます。

つまりベースメントとなる理論があるのが前提です。

そして、それを現場を数多く経験し、修正+改善をしてより完璧な理論へ近づけていくわけです。

上記の「ベースメントとなる理論」は教え始めたときは「自分だけに有効なもの」かもしれません。それを、全ての人にたいして有効な理論へとしていくわけです。

自分だけに有効なもの…これは私にとっては2000年当時の「私の知識+経験」だったのだと思います。

ギターを12歳でスタートし、日本で勉強し、そのご留学…スペインで勉強した…その時点での知識であり、結局は自分の身体とメンタルにのみ有効なテクニックであったということです。

もちろん、私が2000年の時点までで学んだことは「先人の遺産」でもあります。スペインの伝統的な奏法、カルレバーロに代表される現代的な奏法…いろいろと勉強しましたが、私の身体と精神に合うものを取捨選択しているはずです。そういう意味で「自分の身体とメンタルにのみ有効なテクニック」といえるわけです。


さて、ながくなってしまったので、続きは次回に!

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