ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

練習法

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※他に池袋現代ギター社でもレッスンしています

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発表会への準備〜「曲を仕上げる」ということ

来月の14日(日)に当教室の発表会を行います。

発表会ポスター


















11月半ばは私がスペインに行っていたため、レッスンがしばらくありませんでしたが、土曜日からやっと通常のレッスンへ戻っています。私が留守の間に、生徒の皆さん、立派です。ちゃんと発表会に向けて練習してくれていたようです。

(事前に『戻ってくるまで、しっかり練習しておいてね〜』と釘をさしておいたのが功を奏した!)

さて、生徒さんの練習の様子を見てみると、どうも焦っているようです。「締め切り」というのかなあ…それをどうしても意識して練習してしまっているようです。

僕もどうしても使いがちな言葉なのですが、「曲を仕上げる」という言葉…結構危険だなあと思い始めています。

曲を仕上げる=段階的に曲の問題点や課題点をクリアしていく=最終的には100点を目指す…こういう思考回路だと、どうしても煮詰まってしまいますし、練習が楽しくありません。

ふたつのことを気をつけるとよいと思います。
1:その日の練習で得られたフィーリングを大切にする
2:「何をすべきか?」ばかり考えるのではなく「こうしたらどうだろう?」という感覚で練習する

上記、2点。特に2点目は見失いがちな点かもしれません。もちろん練習の初期の段階では、課題点や問題点(技術上の難所や音楽解釈が不明な部分)を抽出し、リスト化して練習していくほうがよいかもしれません。

ただし、そのリスト化したものばかりにとらわれると、「練習=タスクのクリア」というルーティンになってしまいます。なので、締め切りまでに如何に多くのタスクをクリアするのか…ということばかり気になってしまう。練習にクリエイティブさがなくなっていきますし、指だけの作業になってしまう。自分が演奏している楽器の音色の心地よさや音楽の素晴らしさを感じずに本番を迎えてしまうわけです。自分の音や音楽をしっかりと注意して聴かなくなってしまう危険性があることです。

なので、発表会まで1ヶ月〜2週間あたりの時点で、よりクリエイティブな練習に切り替えていく必要があります(その時点までで技術的な難所克服や音楽的な解釈の大半は終えていることが前提となります)。

以下のプロセスで練習してみるとよいかもしれません。

1:まずは演奏をしてみる。
2:自分の演奏を客観的に考えてみる→感想を述べてみる。
3:「こうだったらもっといいなあ!」というふうに考える。
4:必要であれば、部分練習をする。
5:また演奏をしてみる。変更部分への自分の感じ方を言葉にしてみる

毎日、違う観点から自分の演奏を眺めてみる。そして、その日に感じたことから毎日新鮮な気持ちで楽曲を演奏してみる。そうすると、「これをやらねばならない」「この課題点をクリアしなければならない」という義務的な練習から逃れられます。

あとは本番まで、毎日、自分の演奏を更新し続けるだけです。そして、本番でもその延長線上で弾く。

そして、その作業を続けていくと、練習の初期段階でリスト化した課題点は知らないうちにほとんど全部クリアーしていると思います。

「リスト化したものをクリアしていき、全部の穴がなくなること」=「仕上げること」というイメージで練習していると、気持ちが焦るだけで実はあまり効果がありません。本番で「すべての課題点をクリアできるだろうか?」ということに執着すると、自分の音や当日の環境の変化にも馴染むことができず、音楽に集中できないものです。

結局は、「昨日までの自分が今日の自分」なのです。

当教室の発表会は12月14日ですが、13日までの自分しか、本番では出すことができません。もし明日本番があったのだとすれば、そこで「自分の音楽」を自信をもって出すことができるか?…が日々の練習の鍵なのです。

 


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機械的な反復と有意義な反復

反復練習には肯定派と否定派がいるようです。

肯定派:何回でもやらないと指に馴染まない
否定派:機械的に何回も繰り返しても無駄である。

反復練習にもふたつの派(考え方)があるというわけです。

「心で弾くピアノ」という本のなかに面白い一節があります。アルトゥール・シュナーベルの息子さんの回想です。

以下、229ページより引用。

ある日、父親のスタジオの外で聴いていたら、たったひとつのパッセージを200回も繰り返していたという。父親が機械的練習にどれほど不賛成だったか知っていたので、なぜこんなに繰り返すのか訊いたところ、「機械的に練習しているのではない、音楽をつくっているのだ!」と父親は反論した。シュナーベルにとって繰り返しは機械的な練習どころではなく、反対に、たえまなく実験を繰り返すことによって音楽をつくる手段を与えてくれるものだったのだ。

心で弾くピアノ―音楽による自己発見
セイモア バーンスタイン
音楽之友社
1999-04-01



ポイントは繰り返すにしても、一回毎に考えながら行うことなのです。技術面でクリアしたい部分があれば、その解決法を考えることが大切ですし、表現面を探求するのであれば、毎回違うアイデアを試しながら行うことなのです。

あのイチロー選手も、ピッチングマシンを相手に3時間〜4時間ほど黙々とバッティング練習をするのだそうです。ただし、ただバットをふっている訳ではありません。一球毎に明確な目標とイメージをもって練習を積み重ねているのです。可能性をためし、アイデアを試しながら行っているわけです。精度を上げるために軌道修正を行いながら練習しているわけです。

なので、反復練習でも2種類あるわけです。
機械的な練習→時間をこなせば上手くなるでしょうか?…ならないでしょうね。。。
頭を使った練習→慣れてくると楽しい作業です!

みなさんも気をつけて練習しましょう。時間だけこなせばいいというわけではありません。脳みそをしっかりと使って無駄のない練習をしましょう。




 


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セルフレッスンの勧め!(自分を客観視する)

練習を効率よく行うためのポイント…客観的に自分の演奏を聴き、しっかりと分析することです。弾けているんだろうな…という漠然とした思い込みを持つのではなく、客観的に!…です。

私はレッスンのとき、生徒さんの動画を録ることが多いです。その場で見せます。生徒さん本人にいろいろなことを“自分で気づかせる”ために用います。



 






「自分がやろうとしていること」=「実際の自分の演奏」になっているかどうか?…確認してもらうわけです。

さて、普段の練習のときにも、定期的に動画や録音をとって分析することは大切です。でも、たまに撮っただけで満足してしまう人もいます。そして、動画を撮る事も、(どんなに道具が便利になったとしても)一手間かかります。ちょっと面倒と感じる人もいるでしょう。

そこで、お勧めなのは「セルフレッスン」です。

簡単に言ってしまえば、自分で自分にレッスンすることです。自分がギターの先生になったつもりで行います。それにたいする生徒としても答えます。

たとえば、以下のようにやります。

例1:
「あ、ちょっと待って!そこ、音にびりつきがあるよね?理由を考えてみようか?」
「うーん、、、たぶん左手指の準備がうまくいっていないから、慌てて押さえていて…」
「なら、左手指の準備を確認して、もう一回弾いてみよう」

例2:
「そこは、もっとダイナミクスを意識したほうがいいんじゃないかな?」
「クレッシェンドをどこからかけるか決まっていないので、なんとなく弾き飛ばしちゃってます…」
「なら、しっかりとクレッシェンドを開始する位置を考えてみたらいいんじゃないかな?」
「…えーと。ここかな?フレーズの最初を意識して、音量を小さめにスタートするとクレッシェンドはかけやすいかな?」

…とこんな感じに。自分で先生と生徒を二役やるわけです。一人芝居ですね。

こうすると自分の演奏を客観的に聴くようになります。

実際に口に出して言うのがポイント。恥ずかしがらずにやりましょう。同時に、声に出すためには言語化しなくてはいけませんから、脳みそも整理されてきます。

セルフレッスン…おすすめです!

ついでにいえば、練習をしていて眠くなりません。そういう利点もありますよ〜。


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慌てず急げ!(すべてのギター学習者へ)

ずっと前から好きな言葉で「慌てず急げ!」というのがあります。

この言葉に出会ったのは、実際に使っている現場にたちあったからです。数年前のこと、友人ギタリストと焼き肉を食べにいきました。店内はすごい混み合っていました。人気のある店でしたので。さて、食べ終えてお勘定をしようかなというときも、店内は大忙し。とある店員さんがお勘定をしたらいいのか、後片付けをしたらいいのか?…大慌てな感じでした。

そこで、店長らしき人がそのじたばたしている店員さんにひと言。

「慌てず急げ〜」と。

そのときは、なんだその変な言葉は!…そもそも、慌てないで、急いでやれ!って矛盾しているよな、なんて思いました。そして、ちょっと可笑しかったので、その友人と「あの言葉、おもしろかったね!」と話していました。

さて…

普段、レッスンをしていてたくさんの生徒さんを教えていますが、大まかにいうと楽観的なタイプと悲観的なタイプがいます。どちらにもいい点と悪い点があります。

楽観的なタイプのいい点。のんびりマイペースで学習を続けてくれます。多少できなくても気にしませんので、落ち込みません。悪い点は、なんとか弾けない部分を解決してやろう!という意気込みに欠けます。

悲観的なタイプのいい点。悲観的なタイプは、ある意味で完璧主義者です。完全な準備ができないと舞台に上がれない。なので、しっかりと準備してくれます。練習やレッスンにも真剣です。自分の課題としっかりと取り組んでくれます。悪い点は、完璧主義者なので、失敗すると精神的に落ち込みます。完璧主義を貫き通そうと思うあまり、身体的にも精神的にも張りつめてしまって、場合によってはレッスンに通うのすら、ぱたっと止めてしまいます。

生徒さんにはいつも「ポジティブとネガティブが混在する人が上達するんだよね」と言っていますが、もっと具体的に言えば、とにかく自分の演奏をよく分析することです。

できている点と出来ていない点をしっかりと分けること。前者に関しては自分を褒める。褒めすぎるくらい褒めて、楽観主義になってしまいましょう!…後者に関しては、徹底的に悲観主義になりましょう。弾けていない点などはしっかりと解決法を見つける作業をしましょう。これが解決できなければ、命が危ない!…というくらいに。

とはいっても、できていない点…いくら練習してもダメ、正しい解決法は分かっているのにできない…ということはよくあることです。ある一定期間、徹底的に分析して練習したら、保留して別の勉強をスタートしましょう。
もしかしたら、他の技術面が上達したら解決する問題かもしれませんので。これは表現面に関しても同じ事が言えます。たとえば、セーハが苦手と悩んでいる人は多いと思います。しかし、セーハは左腕全体の重さのバランスが通常時の押弦時にしっかりと出来ていない人には難しいですし、実は左指各指の独立ができていないと難しいのです。基本的な事項が完璧にできるようになるとセーハも実は安定します。表現面は技術不足によって実現できないことが多いように思います。技術が安定してくると表現面でもできるようになってくるものが多いですよね。

なので、「慌てず急げ!」です。

のんびりしすぎるのもダメです。問題は解決しません。完璧主義者すぎて「自分は下手だ…」と落ち込みすぎてもダメ。自分の長所を見失って、心がぽきんと折れてしまいます。

とにかく自分の演奏を分析してください。分析すれば、すっきりすることが多いです。


すべての物事に通じることかもしれませんね。

富川勝智

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エウレカ!…千本ノックの意味

以前ブログでこんな記事を書きました。
「ユーレカ」について 

ユーレカ、もしくはエウレカともいいますが、簡単にいうと「発見した!」と意味です。

前の記事で、反復練習について書きました。音楽的な発見は上記記事の「今まで身につけてきた知識や経験に基づいた発見!」であるような気がします。音楽表現を教えていて、和声や音楽理論、音程感、リズムや拍節…様々な知識が必要です。そして楽曲にふさわしい(というよりは本人の感性と合致する)表現はその様々な組み合わせによって生まれてきます。それが「ユーレカ(エウレカ)」となります。

技術的な面においても、この「ユーレカ!」はあり得ます。

空手などにおいては、正拳突きを一時間程度ずっとやらせるという教授法があるようです。ずっと同じ動作を繰り返していると疲れがたまってきますが、ある瞬間に「力の抜き具合」が分かるということだそうです。「お、できたぞ!」という瞬間が「ユーレカ!」です。

野球の素振りや、1000本ノックもそのたぐいの発見があるのでしょう。身体や筋肉の力の入れ具合などにおいて「あ、つかめたぞ!」という瞬間があるのだと思います。

「ユーレカ!」は様々な試行錯誤を経て、発見するという「喜び」があります。

さて、教える上でも、学ぶ上でも、この「ユーレカ!」を大切にしないといけません。他人から教えられたものは知識ですが、「ユーレカ!」は血肉化された感情としての知識であり経験です。

例えばクラシックギターで言えば、セーハなどを千本ノック感覚で「指から血がでるほどやれ!」というやらせる教授法(?)も存在します。大学のギターアンサンブルなので基礎練習と称して、1フレットから9フレットまでFコードをずっとアルペジオさせる…といった類いの練習ですね。

これはこれで悪くはないのです。10人の内1人くらいは、セーハのコツをつかむでしょう。その人にとって自分の力と試行錯誤で得たセーハのコツは「ユーレカ!」なのです。ものすごい喜びでしょうね!

しかし、そうでない人にとってはどうでしょう?こんな練習、力任せにやっていたら指が痛くてたまらないでしょうから。残り9人は「指を壊す」&「挫折」する可能性が高いです。

私は教える上では、ギターの基礎技術上の部分では「千本ノック」方式は行いません。とはいっても、生徒さん本人の「ユーレカ!」を奪いたくありません。なので、ヒントだけ与えます。しかし少しは苦労してもらわないと、「ユーレカ!」の感覚は得られません。なので、10本ノックくらいですかね 苦笑。

10本ノックくらいはやらせます。そして、変な癖がつかないうちに「それだと大変だよね!」という感じで導きます。そこから生徒さんと一緒に解決法を探して行きます。こちらは答えは分かっていますので、うまいことヒントを出して生徒さん本人が試行錯誤して探していくように導きます。

もちろん、このバランスはとても難しいのです。すぐに解決法を教えた方が悪い癖がつかない技術的な要素もあります。すこし10本ノックくらいさせてから、ヒントを与えてやっていくべき要素のものもあります。100本ノックさせてくらいのほうが体感しやすい技術的要素もあるのです。

ただし、概して言うと技術的な要素は身体的負荷が多くかかるので、できるだけ効率よく早めに解決法を導きだすようにします。

音楽的な要素はできるだけ、小さなユーレカを積み重ね、曲想全体を左右するような大きなユーレカを生徒さん本人で導きだせるようにしむけます。

音楽表現のユーレカは1000本ノックに近いです。しかし、前の記事で書いたようにどちらかというとシュナーベルの練習法に近いです。同じフレーズでも100回弾いたら、100通りのバリエーションのフレーズを弾く…この感覚に近いのです。そのためには上記で述べた和声や音楽理論、音程感、リズムや拍節…様々な知識それぞれに小さなユーレカを積み重ねておくしかありません。

富川勝智

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