ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

音楽書

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脳内の地図(音楽書を整理する)

仕事場の資料書棚。
とある音楽理論書を探していたら、まるで探し物が出てこない。部屋の書棚にある音楽書だけでもざっと、2000冊はありそうな勢い。なので、探すとなかなか出てこないのですよ。

で、「とある音楽理論書」は見つからずに、ああこれは再読してもいいかなあー?って思った本を引っこ抜いてみた。

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本棚は自分の脳内の地図だと思う。色々な情報を本から得て、それを脳内にしまって、たまに引き出す。引き出して少しずつ「自分のアイデア」になっていく。レッスンで使っている言葉や演奏で使っている音楽的なアイデアはそうやって築き上げられたものなのだ。

先ほど、全部をパラパラとめくって、流し読みしてみた。せっかくなので、軽く紹介すると共にどのあたりが今の僕の思考に影響を与えたのか整理してみる。

順不同。重要度は一切考慮しない。アマゾンでリンクがあるものは貼っておきますが、多分今は絶版になっているものも多いでしょうね。ごめんなさい。

では、一冊め。

増田宏三「指揮法&ウィンナーワルツ」
指揮法&ウィンナーワルツ 増田宏三
増田 宏三
パンセアラミュージック
2003-05-29


とにかく拍子のプロポーションが明確。音楽は「音符を弾くだけでは成立しない」と思っていた時期に、たくさんの方法論をもらった。

セイモア・バーンスタイン「心で弾くピアノ」
心で弾くピアノ―音楽による自己発見
セイモア バーンスタイン
音楽之友社
1999-04-01


留学から戻ってきて、教え始めた時に本当に死ぬほど読んだ。練習方法のみならず、音楽を弾く意味や精神的な部分にまで、わかりやすく書いてくれている。数年前にバーンスタイン先生のドキュメンタリー映画がちょっと流行ったけれど、この本を読むほうがよりロジカルに音楽教育メソッドとしては理解できるんじゃないだろうか。

吉田雅夫「よい演奏をするために」

フルート奏者吉田先生の本。シュミッツの「演奏の原理」を吉田先生なりに解釈して読み解いたもの。ギターでは旋律の力学を説明してくれている本は皆無ですからねー。これは本当にわかりやすく、旋律の歌わせ方の理論を与えてくれました。

ピーター・バスティアン「音楽の霊性」
音楽の霊性―ニューエイジ・ミュージックの彼方へ
ピーター バスティアン
工作舎
2000-01T

1994年に買っている。大学生の時だ。後ノリと前ノリなどの「グルーブ」を意識するようになった初めての本。これもまたテンポやアーティキュレーションという観点でも参考にしたことがたくさんある。今でも、この本で学んだことから少しずつ自分の形に整えている感じがしている。

ゲンリッヒ・ネイガウス「ピアノ演奏芸術」
ピアノ演奏芸術―ある教育者の手記
ゲンリッヒ ネイガウス
音楽之友社
2003-06-01

バルセロナ留学中の師匠アレックス・ガロベー先生のおすすめ本。当時はネイガウス本人の演奏も入手困難。でも、本は出ていた。もちろんスペイン語で。必死で読んだ。読んだらアレックス先生が言っていることもなんとなくわかった。音楽の丁寧さと「息」の長さとか短さ…絶妙なバランスコントロールをしないと音楽は死んじゃうよ!っていうことを学べた本でした。ゲーテの引用とかばんばん出てくるので「ああ、西洋の知識人だなあ」っていう感じがむちゃくちゃする本です。
実はゲーテ読まねば!!!って思った最初の本かもしれません 苦笑。

東川清一「シャープとフラットのはなし」
シャープとフラットのはなし
東川 清一
音楽之友社
1998-12-10


読譜の感覚が変わりました。シャープはシ、フラットはファ。そして、シとファのベクトルを考えることはとても大切ですよね。そんなシンプルなところを深ーく掘り下げた本。微妙なピッチ感にも敏感になれるかもしれませんね。

マティス・リュシー「音楽のリズム」
音楽のリズム‾その起源、機能及びアクセント‾ (要約版)
マティス・リュシー
中央アート出版社
2008-03-28

割と強引なところもあるけど、よくまとまっている本。音楽の拍節と、横の流れ(旋律)と和声と、アクセントをうまくからみ合わせて「最終的な表現になる」ということがよくわかります。やってみないとわからないロジックではあるのですが、割とこの分解された考え方は生徒に教える時にとても役立っています。

ジョン・W・デュアルテ「ギターのためのメロディーとハーモニー」
詳細
これはアマゾンにはなかったです。図書検索のリンクを貼っておきました。これは大学生の時に読みたおした本です。今でもたまによみます。復刊したらいいのに・・・と思うクラシックギター本第一位です。
全て譜例はギター曲。ある程度理論を勉強した人であれば、「ああ、あのギターの曲のあの部分は”終止の四六”だったのかー!」とか具体例がたくさん。


てな訳で、こんな感じです。もちろん、これが「僕に影響を与えた音楽書ベスト8」って訳ではありません。他に上げていけば、100冊くらいは紹介できますし、現在も増えています。音楽書って面白いんですよ。本屋に行って真っ先に行くのが音楽書のコーナー。立ち読みして「これは!」っていうのは一箇所でもあれば買います。

本棚は脳内の地図です。だから、図書館には行きません。相当入手困難な書籍でない限りは、買うことが大切。だって、脳内ですもの。

たまに、脳内公開してみましょうかね。しかし、ほとんどギター関係の本なかったですねー。音楽理論や表現理論はやはり他の楽器のものがわかりやすく丁寧ですね。いずれ、自分で表現法のテキストは書いてみたいなーとは思っておりますが・・・

認知心理学的なアプローチ(音楽表現について)

生徒さんが「自分で表現を考えられるようになる」ために、レッスンではいつも様々なアイデアや音楽についての基礎理論を教えています。

そして、表現というものを考えていく時に、大切なのは演奏者本人が「何かを感じる」ことです。ある音に驚いたり、こういうふうに音がつながっていくんだろうなあ、と予測したり。または、その予測を裏切られたり。。。

そして、それは人の心がどのように動かされるかという点において、心理学と呼んでよいものなのです。音楽の認知心理学という分野がきちんとあります。

たくさんの人にレッスンをしてきましたし、今はプロですでに活動中のギタリストに方にレッスンすることも多くなってきました。教える上で、常に「勉強し直す」ことが教える側にとって大切な作業です。知識を整理して、よりわかりやすく生徒さんに伝えたいですし、自分の演奏を見直すきっかけにもなります。

ということで、今日は音楽表現の「認知心理学的なアプローチ」を整理する作業を2時間くらいしてみました。せっかくなので、参照した本を下記に挙げておきます。自分で音楽表現を「考えてみたい人」の参考にもなるでしょう。


演奏法の基礎―レッスンに役立つ楽譜の読み方
演奏法の基礎―レッスンに役立つ楽譜の読み方
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→141ページから始まる「聴覚反応と演奏法」という章が認知心理学的なアプローチについて触れています。かなり具体例をだしながら実践的に書かれています。長文ですが読みやすいです。

CDでわかる 音楽の科学 (図解雑学)
CDでわかる 音楽の科学 (図解雑学)
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→50ページに「音の群化」について書かれています。音楽全般を扱った本ですので、一項目見開くで説明されています。深くは書かれていないですが、図解雑学の名のとおり、シンプルにエッセンスだけ紹介されています。

音楽はなぜ心に響くのか―音楽音響学と音楽を解き明かす諸科学― (音響サイエンスシリーズ)
音楽はなぜ心に響くのか―音楽音響学と音楽を解き明かす諸科学― (音響サイエンスシリーズ)
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→そのものずばりの本で、現在の音楽研究を概観できます。社会学や音響学などの面から「音楽はどのようにして感動を生むのか」について書かれている本。そのなかに心理学の分野での音楽の扱われ方も書かれており、もちろん認知心理学における音楽表現の仕方も扱われています。

音楽と認知 (コレクション認知科学)
音楽と認知 (コレクション認知科学)
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→まさに決定版ともいえる「音楽認知心理学」の本です。これでもか!…というくらい様々な理論を提示しています。いまから紹介する「音楽のリズム構造」のマイヤー理論の欠陥なども指摘しています。実に面白い本です。若干入手が困難かもしれませんが、ここ数年読んだ音楽関連書籍のなかでも、5本指にはいるおすすめ本です。

音楽のリズム構造―新訳
音楽のリズム構造―新訳
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→もしかしたら、上記の「音楽と認知」を読んでからのほうがわかりやすいかもしれません。具体的に書かれていますので、ある程度経験を積んだ音楽家の方なら、「ああ、そういうことだったのか!」と飲み込める内容がほとんどです。譜例をだしてものすごく詳細に分析しているので、文章を読み、音を出すことがおっくうな人にはきついかもしれません。しかし、素晴らしい本です。

人は音・音楽をどのように聴いているのか
人は音・音楽をどのように聴いているのか
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→ものすごい研究書です。とにかく実験に実験を重ねて、データから「人は音をどのように認知しているのか」を導きだした本です。例えば、ドミソー♪と音を鳴らしたときに、何パーセントの人が「明るい!」と感じるのか…そんなことがひたすらデータとして提示されていきます。音が音群がどのようなイメージを与える可能性があるのか…。それをデータで実証した本です。

…という感じで、今日は知識を整理してみました。

このあたりの「音楽表現法」のアプローチをもうすこしシンプルに「誰にでもわかりやすい」ものにおとしこみたいなあ、と思っています。もちろん、普段のレッスンでもそのように心がけていますが、理論を実践的なものにするためには弛まぬ努力と地道な研究が必要ですね。


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