ギターレッスンと演奏の日記 from 富川ギター教室

クラシックギターの「伝道師」富川勝智のギター教室でのレッスン活動と演奏活動の記録です。

音量

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フランシスコ・クエンカ氏のレッスン(ギターの音色と音量について考える)

ちょっと前の話になりますが、3月25日、スペインのギタリストであるフランシスコ・クエンカ氏のマスタークラスを主催しました(井桁ギター教室との共催)。私がマスタークラスの進行役兼通訳を務めました。

全体の印象としては、非常に「焦点が明確な」レッスンだったということです。受講生の楽曲もある程度、クエンカ氏が得意そうなものにあらかじめ設定したということもありますが、やはりスペイン音楽特有のダイナミクスや的確なアクセント付けということにおいて、多くのことが学べるレッスンであったと思います。

時間はひとり40分前後あったため、じっくりと楽曲全体を通してポイントを見て行くことができました。

ひとりめ、鈴木文乃さんのレッスン。



トゥリーナのセビリア幻想曲。ラスゲアードのポイントを説明。楽曲のダイナミクス、音色の使い分けなどがポイントでした。

林祥太郎君。



レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサのサパテアード。これもサパテアード(スペインの舞曲の種類でもある)のアクセントのポイントを説明。踊り手がいると過程して「そこで走ったら、踊り子はてんやわんやだぜー」(←意訳)というように非常にわかりやすいレッスン。あまりにもスムーズにサパテアードのレッスンが終わったので、もう一曲何かないか?…とのことで、同じ作曲家のロンデーニャも見てもらいました。

これも正確なアクセント付けを丁寧に伝授。

最後はいまをときめく東京国際優勝の藤元高輝君(写真ありません。すいません)。

ロドリーゴの祈りと踊り。これも舞曲のアクセントを明確にすることで、楽曲に推進力が生まれます。和音の響かせ方も、クエンカ氏独自のもので、よいアイデアだったと思います。藤元君のレッスンも時間があまり、ベリオのセクエンツァ(!)のゴルペやラスゲアードの扱い方もワンポイントで指導。このようなギターの特殊奏法に関するセンスもクエンカ氏のアイデアはすばらしかったです。


…と書いてきましたが、なによりも彼のギターの音色とダイナミクスに関する考え方は非常に面白かったです。

本人は意識していないかもしれませんが、「アクセント」のとき、見事に音色の中に含まれている倍音の比率を変化させています。振動の量ではないのですね。もちろん音量もアップはしているのかもしれませんが、彼が求めてるのは「人の耳に印象づける」要素なのでしょう。

ダイナミクスに関しても、フォルテのときはブリッジ寄りで弾くことが多いですね。これも彼がお兄さんであるピアニストのホセ・マヌエル・クエンカ氏とくんでいるデュオでの経験から導きだされたものであるようです。

ピアノにも比肩する音量…それは実際の音量では太刀打ちできないということなのでしょうね。音色で「人の耳に注意を喚起する」ことが大切なのです。

にたようなことは、スペインのギタリストであるマリア・エステル・グスマンさんも言っていました。彼女の日本でのマスタークラスの通訳も数度やっていますが、音量を大きくしてね!というところを「abierto」という単語を使います。これは英語でいうところのopenですね。「開いて!」ということです。クレッシェンドのところで使うのは想像できましたが、おおきな音量が要求される部分(たとえばffの部分など)でも使っていました。

この感覚が分かるとクエンカ氏が大きな音量が要求される部分でブリッジ寄りの部分を使う理由が推測できると思います。

というわけで、非常に勉強になったレッスンでした。通訳の特権として身近で彼のタッチを見れるというのもいいのです。非常に面白いです。帰宅して早速試してみましたが、かなり近い倍音構成の音が出せました。自分の勉強にもなったわけですね。

スペインの音…というよりはそもそも音楽というものはどうあるべきなのか?…ギターという楽器のポテンシャルを引き出すためにはどういう感覚を持たねばならないのか?…という点においても、すばらしいレッスンだったと思います。

富川勝智

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アポヤンドは音色!!

最近、生徒とのレッスンで気になること。

アポヤンドとアルアイレの使い分けについて書きます。

「アポヤンド=大きい音を出す」という図式で考えている人が多いですね。それならアルアイレは「軽い音」?

アポヤンドをすると大きい音量しかでないというのは大問題。弦をただ引っぱたいている可能性があります。指先が弦に接触し、必要な分だけ押してリリースする・・・というアクションを意識すれば、小さい音量でもアポヤンドができるはずです。

では、アポヤンドとアルアイレの違いは何か?・・・答えは「音色」です。アポヤンドとアルアイレは弦の振動の仕方が変わります。一般的にアポヤンドは表面板に対して水平に近い振動で、アルアイレは円運動に近い振動になるでしょう。

この振動の違いが音色の違いとなって出てきます。

アポヤンドとアルアイレの違いは音量では決してありません。音色です。このことを間違うとギターの音色のバリエーションを狭めてしまうことになります。

 

実際の練習においては、アポヤンドとアルアイレの音色を『できるだけ同じ』にすることを目指すことを忘れないように。上記で述べていることと相反することのように思われるかもしれませんが、アポヤンドとアルアイレによる弾弦後の弦の振動を『ほぼ同じ』にすることが、右手のタッチと右手全体の安定のためには必要です。

このように意識すれば、おのずとアポヤンド時とアルアイレ時の右手のフォームは同じ形になってきます。両者の弾き分けは、右手の指先でコントロールされることになります。手の甲は動きません。

実際の曲のなかでのアポヤンドとアルアイレの弾き分けは、瞬時に切り替えなければなりません。この両者をスムーズに切り替えられることが大切です。

このことをふまえたうえで、弦の振動方向をいろいろと試していきます。表面版に対して完全に水平に振動させる・・・垂直方向の振動を多く与える・・・円運動に近くする・・・楕円の振動にしてみる・・・エトセトラ・・・このように考えていくと、アポヤンドでもアルアイレに近い音色がでますし、アルアイレでもアポヤンドに近い音色を出すことも可能です。

このように右手の安定を考えながら、弦の振動を様々に変化させることができるようにトレーニングすることが、ギターの音色を増やしていく方法です。その増やす過程において、アポヤンドとアルアイレという便宜上の弾き分けが存在します。

「アポヤンド=太い音色、アルアイレ=軽い音色」という単純な二分法では、失うものは大きいです。

ましてや「アポヤンド=大きい音、アルアイレ=小さい音」という二分法においては、右手のタッチを考えていないと思われてもしょうがないでしょう。

初心者への導入段階においては、この便宜上の区分は使用されてもよいかもしれませんが、教える側も教わる側も細心の注意を払いつつ、違いを把握するべきです。

少々固い文面になりましたが、みなさま研究してみてください。

上記のことが完全に理解できれば、セゴビア風指寝かせアポヤンド(?)を使用してもまったく問題ありませんし、その時点で「あなたの音色」として、そのタッチが音楽の中で生かせるはずです。

 

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